待ちに待ったお盆休みの二日目、私は堤防沿いを急いでいた。行き止まりに見えてきた愛しい姿が、こちらに気付いて大きく手を振る。

「泰輝!おかえりー!」

「柚歌!ただいま、呼び出しちゃってごめん。明日まで会うの我慢しようと思ったんだけど……やっぱり無理だった」

「ううん、私も早く会いたかったから」

「無事に帰ってこられて良かったよ。バレたら二度と帰れないとこだったもんな」

後頭部を掻きながらヘラヘラと笑った彼は、きっとそんな事、微塵も思っていないだろう。

「ほら、柚歌!」

目の前に差し出された腕の力を借りながら堤防によじ登り、私たちはしばらくぶりのその場所へと駆け降りた。