「え、お泊まり!?秀くん家に!?」

「柚歌、しーっ!声が大きい!」

那月の口から大胆な計画が飛び出したのは、夏休みを目前に控えたある日の昼休みの事だ。あまりに突然の宣言に、私は柄にもなく大きな声を出してしまった。

「ごめんごめん……お泊まりって、親は?」

「夏休みに柚歌ん家にお泊りして一緒に課題やるって言ったらあっさり信じてくれた」

那月は少しの罪悪感すら感じさせない表情で、小さく舌を出した。

「そんな嘘ついてバレないの?」

「まぁ大丈夫でしょ。柚歌ん家の電話番号すら知らないんだもん」

「まったく……勝手に私まで巻き込まないでよね」

「ごめ〜ん!そのかわりと言ったらなんだけど、柚歌も私の事言い訳に使っていいよ」

「どういう意味?」

「だからー、ウチに泊まりに来る事にして泰輝くんに会いに行けるでしょ!」

「絶対に無理!そんなのバレたらもうお終いだよ私」