「ヒロさ、本当に泰輝の事が大好きなんだよね。泰輝の事もう、まるで弟みたいに可愛がってるの」

洗ったばかりのお皿を私に手渡しながら、ユキさんは少し困ったように肩をすくめた。
リビングを覗いてみると、子供のようにじゃれあう二人は確かに兄弟のようだ。けれどどちらかといえば、無邪気なヒロさんの方がまるで弟みたいだ。
ユキさんと私は二人の様子をしばらく眺めた後、顔を見合わせてクスクスと笑った。

「泰輝の為にこんな素敵なパーティーをして貰って、なんだか私まで嬉しかったです。本当にありがとうございます」

「ううん、いいのいいの!ヒロが好きでした事だから。泰輝が引っ越しちゃうと寂しくなるね、柚歌ちゃん、遠距離恋愛大丈夫そう?」

ユキさんが眉毛を下げて、私を覗き込む。

「うーん、やっぱり少し不安です。だけど電話もメールもあるし、会えない距離じゃないので、頑張ってみようと思います」

「そうだよね!泰輝と柚歌ちゃん、お似合いのカップルだもん。二人ならきっと乗り越えられるよ」

「ユキさんにそう言ってもらえると、なんだか心強いです」

「泰輝が引っ越したら私たちも寂しくなるからさ、柚歌ちゃんいつでも遊びに来てね。私、恋の悩みならいつでも聞くよ♪」

お皿を拭きながら「はい」と大きく頷くと、ユキさんはエプロンの紐を解きながら、ニッコリ笑いかけてくれた。