「ちょっとヒロ、飲みすぎないでよ?」

ユキさんがヒロさんを横目で睨みつける。

「ユキ、そんなカタい事言うなよなー。めでたいんだからさ!明日は予約も入ってないんだし、いいだろう」

同じようにビールを手にした仲間たちから、そうだそうだの声が飛び交い、テーブルの上はあっという間に空き缶で埋め尽くされた。

「どうしようもないんだから」

ぼやきながらその残骸をてきぱきと片付けるユキさんを見て、泰輝と私はテーブルの端と端で小さく微笑み合った。

ヒロさんが用意してくれたお祝いのケーキを皆で食べ、お腹がはちきれそうになった所でパーティーはお開きとなった。
すっかり出来上がったヒロさんは、皆が帰って静まりかえったリビングで、いつまでも泰輝に絡んでいる。お前が居なくなると寂しいだとか、柚歌ちゃんを大事にしろだとか、そんな事を言う声が、ユキさんと私の居るキッチンまで筒抜けだ。