俺は換金用の窓口にやって来た。
リトルミノタウロスの素材を提出する。
魔石の方はアイテム入手にも使うため、全部手元に置くことにした。
たぶん素材の換金だけで当面の生活費は十分賄えるはずだ。
特にリトルミノタウロスの素材は高く売れるからな。
今後は、魔石は全部アイテム用に消費して、モンスターの素材を換金して生計を立てるっていうのが効率がよさそうだ。
俺はその日もEランクダンジョンに挑んでいた。
十二階層までは安全ルートを確保してある。
モンスターがなるべく少ない道を通り、最小限の戦闘で次の階層へと進む。
前回の十二階層――リトルミノタウロスと戦った場所を過ぎ、十三階層へと降りた。
『月光都市のダンジョン』は二十五階層まである、と噂で聞いたことがある。
この調子で行くと、最下層まで到達できそうな感じだ。
ちょっと前までは三階層から五階層くらいまでを延々と巡り、ちまちまと魔石稼ぎをする日々を送っていた俺が――。
最下級とはいえ、ダンジョン踏破者になれるかもしれない。
「まずは罠設置だ」
俺は魔石を消費し、爆撃魔法の罠を仕掛けた。
そしてここから、今までと違ってもう一工程加えることにした。
「次にモンスター誘因用のエサ」
罠の近くにエサをまく。
獣タイプのモンスターにはだいたい有効な汎用タイプのエサ。
一種の魔法薬だ。
これは【アイテム交換所】で得たものではなく、町の魔法店で購入したものだった。
エサをまき終えた俺は、すぐに物陰まで隠れた。
「上手くかかってくれよ……」
そっと様子をうかがう。
しばらくすると、餌の匂いにつられたモンスターが次々にやってきた。
四足歩行タイプの『ソードウルフ』や『ファングタートル』、『キラーラビット』など、全部で三十体ほど。
「あとはタイミング……できるだけ多くの個体を巻き込むようにして……【起爆】!」
ごうっ!
青い火柱がすべてのモンスターを包みこみ、撃破した。
「よし、これで魔石を楽々ゲットだ」
魔石はすべてNだったが、合計で二百以上手に入れた。
そのうちの百個を使って、新たな爆撃罠を入手。
残りの百ちょっとは『アイテム交換所』の収納エリアにしまっておいた。
「罠を使ったモンスター討伐は楽だし、便利なんだけど……ただ、このやり方だと俺のレベルが上がらないんだよな」
俺は腕組みをしてうなった。
そう、そこが悩みどころだった。
罠でモンスターをいくら倒しても経験値としてはカウントされないのだ。
「自分の能力底上げには、やっぱり直接戦闘で倒すしかないんだよな……」
ただできるだけリスクを抑えて、能力値を上げていきたい。
なので、遠隔攻撃用のアイテムを魔石を使って入手し、なるべく危険を排した局面でモンスターを打ち倒していこうと思っている。
とにかくソロなんだから、リスク回避を徹底しなきゃな……。
そうやって素材と魔石を稼ぎ続ける。
素材はギルドに売って生活資金に。
魔石は新たなアイテムを入手するために消費する。
その繰り返しで、俺は少しずつレベルを上げ、ダンジョンの下層へ、さらに下層へと少しずつ攻略済みエリアを広げていった。
そうして二週間が経過。
ダンジョンはすでに二十一階層まで探索済みだ。
さらに、俺は最底辺のFランクから一つ上のEランクへと昇格していた――。
*****
ノベマ版はいったんここまでになりますm(_ _)m
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
本作を読みやすく改稿&書き下ろし番外編を収録した書籍版がグラストNOVELSより1/28に発売されますので、よろしくお願いします~!
リトルミノタウロスの素材を提出する。
魔石の方はアイテム入手にも使うため、全部手元に置くことにした。
たぶん素材の換金だけで当面の生活費は十分賄えるはずだ。
特にリトルミノタウロスの素材は高く売れるからな。
今後は、魔石は全部アイテム用に消費して、モンスターの素材を換金して生計を立てるっていうのが効率がよさそうだ。
俺はその日もEランクダンジョンに挑んでいた。
十二階層までは安全ルートを確保してある。
モンスターがなるべく少ない道を通り、最小限の戦闘で次の階層へと進む。
前回の十二階層――リトルミノタウロスと戦った場所を過ぎ、十三階層へと降りた。
『月光都市のダンジョン』は二十五階層まである、と噂で聞いたことがある。
この調子で行くと、最下層まで到達できそうな感じだ。
ちょっと前までは三階層から五階層くらいまでを延々と巡り、ちまちまと魔石稼ぎをする日々を送っていた俺が――。
最下級とはいえ、ダンジョン踏破者になれるかもしれない。
「まずは罠設置だ」
俺は魔石を消費し、爆撃魔法の罠を仕掛けた。
そしてここから、今までと違ってもう一工程加えることにした。
「次にモンスター誘因用のエサ」
罠の近くにエサをまく。
獣タイプのモンスターにはだいたい有効な汎用タイプのエサ。
一種の魔法薬だ。
これは【アイテム交換所】で得たものではなく、町の魔法店で購入したものだった。
エサをまき終えた俺は、すぐに物陰まで隠れた。
「上手くかかってくれよ……」
そっと様子をうかがう。
しばらくすると、餌の匂いにつられたモンスターが次々にやってきた。
四足歩行タイプの『ソードウルフ』や『ファングタートル』、『キラーラビット』など、全部で三十体ほど。
「あとはタイミング……できるだけ多くの個体を巻き込むようにして……【起爆】!」
ごうっ!
青い火柱がすべてのモンスターを包みこみ、撃破した。
「よし、これで魔石を楽々ゲットだ」
魔石はすべてNだったが、合計で二百以上手に入れた。
そのうちの百個を使って、新たな爆撃罠を入手。
残りの百ちょっとは『アイテム交換所』の収納エリアにしまっておいた。
「罠を使ったモンスター討伐は楽だし、便利なんだけど……ただ、このやり方だと俺のレベルが上がらないんだよな」
俺は腕組みをしてうなった。
そう、そこが悩みどころだった。
罠でモンスターをいくら倒しても経験値としてはカウントされないのだ。
「自分の能力底上げには、やっぱり直接戦闘で倒すしかないんだよな……」
ただできるだけリスクを抑えて、能力値を上げていきたい。
なので、遠隔攻撃用のアイテムを魔石を使って入手し、なるべく危険を排した局面でモンスターを打ち倒していこうと思っている。
とにかくソロなんだから、リスク回避を徹底しなきゃな……。
そうやって素材と魔石を稼ぎ続ける。
素材はギルドに売って生活資金に。
魔石は新たなアイテムを入手するために消費する。
その繰り返しで、俺は少しずつレベルを上げ、ダンジョンの下層へ、さらに下層へと少しずつ攻略済みエリアを広げていった。
そうして二週間が経過。
ダンジョンはすでに二十一階層まで探索済みだ。
さらに、俺は最底辺のFランクから一つ上のEランクへと昇格していた――。
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ノベマ版はいったんここまでになりますm(_ _)m
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
本作を読みやすく改稿&書き下ろし番外編を収録した書籍版がグラストNOVELSより1/28に発売されますので、よろしくお願いします~!