『ゼノ・フレイザーのユニークスキル【アイテム収納(極小)】はEX(エクストラ)スキル【アイテム交換所】へと進化しました』



 声が響き渡る。

「な、なんだ……?」

 俺は呆気に取られていた。
 理解が追い付かない。

「スキルが進化した、って……?」



『「アイテム交換所」へのアクセスを開始します』



 ヴ……ン。
 うなるような音とともに、前方の空間に光り輝く文字が浮かび上がった。

――――――――――――――――――――――――――
『アイテム交換所(ランク1)』

 交換可能アイテム一覧

・クロスボウ&魔法の矢1本(即死タイプ)……魔石R2個と交換
・魔法の罠・低級(爆破タイプ)……魔石R2個と交換
・魔法弾・低級……魔石R1個と交換
・薬草×10……魔石N10個と交換
・毒消し草×10……魔石N10個と交換
・木のお守り……魔石N5個と交換
・丈夫なナイフ……魔石N3個と交換

※アイテムは随時追加されます。
※アイテムを他者に譲渡や売買することはできません。その場合、アイテム自体が消滅します。
※交換アイテムが一定数を超えることで『アイテム交換所』のランクが上がります。
――――――――――――――――――――――――――

 そう記されていた。

「これって、まさか――」

 今までは異空間にアイテムを『収納』するだけのスキルだった。
 けど、これは――。

「魔石と交換することで、アイテムを『入手』できるスキル……?」



 俺は第十層まででいったん探索を切り上げ、ギルドに戻ってきた。

「見ろよ、『ハブられ者』のゼノが戻ってきたぞ」
「どのパーティからも『無能』って言われて、参加拒否されてるのよね」
「スキルが『役立たず』過ぎるからなー。仕方ないんじゃね?」

 あちこちから俺に対する嘲笑が聞こえる。

 冒険者は実力の世界だ。
 最底辺に位置する俺は、常にこういった嘲笑や蔑みにさらされていた。

 最初は嫌な気分になったり落ちこむこともあったけど、最近では完全に慣れたものだ。
 彼らを無視して、俺はギルドの窓口までやって来た。

 魔石やモンスターから奪い取った素材などを換金する。
 ただし、今回は魔石についてはすべて換金するのではなく、大半は手元に残した。
 素材と一部の魔石を売るだけで、当面の生活費はなんとか確保できた。

 宿に戻ると、床の上に魔石を並べる。

「さて、と。いよいよ進化したスキルを試すときが来たぞ」

 胸がワクワクしていた。

「アイテム一覧を見せてくれ」

 呼びかけると、前方に光り輝く文字が表示された。

――――――――――――――――――――――――――
・クロスボウ&魔法の矢1本(即死タイプ)……魔石R2個と交換
・魔法の罠・低級(爆破タイプ)……魔石R2個と交換
・魔法弾・低級……魔石R1個と交換
・薬草×10……魔石N10個と交換
・毒消し草×10……魔石N10個と交換
・木のお守り……魔石N5個と交換
・丈夫なナイフ……魔石N3個と交換
――――――――――――――――――――――――――

 とりあえず、現状で交換可能なアイテムはこれだけだ。

「うーん……欲しいものもあれば、必要ないものもあるな」

 魔石のところにあるRとかNとかいうのは、魔石のランクを示している。
 SSRやSR、R、N……といったふうに魔石にはその価値に応じてランク付けがされているのだ。

 ちなみにN50個でR1個と同じ価値である。
 俺の手持ちはNの魔石が58、Rが1つだった。

「魔法の罠は内容次第で使えそうだけど、もう少し詳しい説明はないのか……」

 つぶやくと、

――――――――――――――――――――――――――
・魔法の罠・低級(爆破タイプ)……魔石R2個と交換

 時間や場所を指定し、範囲内に入った敵すべてに爆破魔法をかける。爆破魔法の対象は敵のみで、周囲の建造物などにはダメージを与えない。
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「おお、追加で説明が出るのか」

 魔法の罠……か。
 ダンジョンで使えるんじゃないだろうか。

 敵にだけダメージを与えるみたいだから、ダンジョン崩落の危険もない。
 使い方によっては、敵を一網打尽なんてこともできるはずだ。

 手持ちのN58個のうち50個をR1個に換算し、合計でR2個にして『魔法の罠』と交換した。