一通り二人で話してから輝生は帰って行った。私は命の危険があるということでこのまま入院することになった。



倒れたところを輝生に見られたにもかかわらず、私はいまだに病気のことを話せずにいた。病気のことを話したら一体彼はどんな顔をするだろう。優しい輝生のことだから私を労わりながら一緒にいてくれるだろう。でも、それは”すい臓がんを患った美羽”と一緒にいるのであってただの”美羽”と一緒にいるわけではない。




それが嫌だった。私はこの命が尽きるその日までただの”美羽”として輝生の記憶の中に残りたいのだ。



わがままだな、と自分でも思う。このまま死んだら天国で輝生に怒られるだろう。それでも、そうだとしても、”美羽”で居たいのだ。