「まあまあかっこいいじゃん」
「……千秋の方が、かっこいい」
「……それはどうも」

 わずかに照らされた横顔は、ずっと画面を見つめたままで、こっちを見ようとしない。

「なんか、怒ってる?」
「べつに」
「うそ。なんか、今日の千秋ヘン」
「……そんなことないよ」

 優しく笑って、瞼に落ちてきたキス。そのまま頬へ移って、唇の横でそっと止まる。
 一瞬だけ合った目は、なにか言いたそうだった。

「疲れたから、もう寝る」

 背を向ける君に、それ以上を求めることはしなかった。
 一度も考えなかったわけじゃない。君が私から離れていくこと。
 お互い親には話していない。付き合っているわけでもないし、先のことなんて何も分からないから。

 同じ毛布にくるまり、一緒に朝を迎える。他の人よりひとつ飛び抜けた関係に思えて、優越に浸れて、心地よい空気を吸っていたくて。


 みんなの思い描く未来がハッピーエンドと言うならば、私は、迷わず君とのバッドエンドを選ぶ。