薄暗い灯りがぽわんと浮かび、眠そうな顔を照らす。
 カタカタとキーボードを打つ音が部屋に響いて、そのうち小さな寝息へと変わった。


 微睡みの中で思い出す。もう何年も前のこと。

 君が置いていったチョコレートは、苦くて食べられなかった。
 同じ煙草の香りを街中で感じると、つい振り返って背中を探している。


 少しずつ毒で痺れていくみたいに、君の呪縛から、私は一生逃れられないだろう。