荷物を運ぶのを手伝ってもらい、僕らは部屋の中へ入った。



 落ち着くと、シドが質問してきた。

「それで、地下六階はどうだった?」

「シドの言っていた通り森みたいなところだったよ。魔物もけっこう手強い」

「手強いってどれくらい?」

 リタも興味津々だ。

「リタでも手こずると思う」

 リタの戦闘力判定はCプラスだけど、地下六階にはC判定の魔物がたくさんいる。一対一ならまだしも、複数を相手にすればひとたまりもないだろう。

「おいおい、だったらどうすんだ?」

「安心して、シド。僕に考えがあるんだ」

「考え? 本当に大丈夫なのか?」

「もちろん。新しい装備を開発するよ」

 僕のサポートと新装備があれば、デザートホークスの力は地下六階でもじゅうぶん通用するはずだ。

「僕に三日ちょうだい。それまでに用意するからね」

 頭の中ではすでに設計図はできている。素材もたっぷり取ってきた。あとは作製するだけだ。僕は思いを巡らせながらジューシーなマンゴーにかぶりついた。



 約束の日はすぐにやってきて、僕はデザートホークスの面々を居間に招いた。今日もクーラーが大活躍だ。シドやララベルはすっかりなじんでいて、僕の部屋の冷蔵庫から勝手に飲み物を出している。まるでアメリカ人のようだ。

「いつ飲んでもこのサイダーって美味いよな!」

「アイスコーヒーに入れる氷はどこだ? ガムシロ取ってくれよ」

 ララベルもシドも順応が早すぎっ!

「はいはい、みんな落ち着いたらこっちを注目! 今から新作装備のお披露目をするよ」

 まずはタクティカルブーツからだ。

「使いやすそうだけど、以前のとどう違うの?」

 リタが自分の分を受け取りながら訊いてくる。

「いくつかの仕様変更があります。いちばんの違いは靴底ね。ゴムといって伸縮性があり、滑りにくい素材を採用しました」

「ほんとだ、キュッキュッってなって滑らない」

「それから、前のブーツは仕込みナイフを採用していたけど、あれは廃止ね」

「まあ仕方がないな。ロマンは溢れるけど重たかったからな、あれは」

 シドが納得したようにうなずく。

「つま先の鉄板は継承しているからね。それから前衛が持つための大盾を用意しました。使うのは僕とリタを想定しています」