「うん、セラを信じる」

 僕らは狩りを続け、二〇〇キロ超の木材を集めることができた。それどころか木材と鉄の扉を加工して荷車まで作ってしまったぞ。地下六階にゴムの木があってよかったよ、ゴムタイヤまで作れたからね。これで大量の荷物も楽に運べるはずだ。



 探索も三日目になった。僕は地図を描き、帰りの目印を覚えながら進んでいく。

「メリッサは地下七階へ行ったことはある?」

「ない。下り階段がどこにあるのかわからない」

 一般に地下六階の地図は出回っていない。分け入る人がほとんどいないからである。シドのようなベテランの斥候でさえ、記憶しているのは地下五階までの地理だと言っていた。地下六階についてはほとんど知らないそうだ。デザートホークスの当面の課題は地下七階へ降りる階段探しということだ。

「木材やフルーツも大量に集まったし、そろそろ地上へ戻ろうか」

「うん……」

 メリッサはちょっと寂しそうだ。

「今日中に帰りつけるわけじゃないから気を抜いちゃだめだよ。地下三階くらいでもう一泊していこうね」

「うん」

 二回目の「うん」はずいぶんと元気だった。

「セラ!」

 珍しく興奮した声でメリッサが僕を呼び止めた。

「どうしたの? 魔物?」

「そうじゃない。あれ」

 メリッサが指し示す先には藪が茂っている。だけど、その藪の中に箱が見えた。幅が一メートル、高さは七〇センチくらいある。

「もしかして宝箱!?」

 迷宮ではたまにこうした宝箱が発見される。しかも、ふかい位置で発見されるほど宝箱の中身の価値は上がる。とんでもないお宝が入っていそうだ。ワクワクしながらも罠などがないか慎重に調べた。ごくまれにだけど宝箱に擬態するミミックという魔物だっているのだ。そうはいっても僕にはスキャンがあるので騙されることはないけどね。

「大丈夫、普通の宝箱だ。でも鍵がかかっているな……」

「地上に持ち帰ってから開ける?」

「たぶん開けられると思う……」

 スキル『解体』を発動すると、鍵は難なく外れた。やっぱり鍵開けにも応用が利いたか。悪用すれば砂漠一の大泥棒にだってなれる気がする……。

「さて、何が入っているかな……」