「デザートホークスの新メンバーだよ」

「ララベルってんだ。よろしくなっ!」

 ララベルはにっこり笑って無邪気に挨拶している。ジャカルタさんはララベルの口の荒さとかわいさのギャップにびっくりしているようだった。

 迷宮に入ると僕らは人目を避けて移動した。

「なあ、セラ。どこへ行くんだい? 主要ルートを外れている見たいだけど」

「今から行くのは秘密の場所なんだ。ララベルは秘密を守れるかい?」

「しつこいぞ、セラ。拷問されたって吐かないって」

「だったらララベルに僕らの秘密を教えてあげるね」

「マジか? アタシを本当の仲間だって認めてくれるんだな!?」

 ララベルはツインテールをぶるんぶるんと揺らして喜んでいた。



 菜園の扉を開けると白色の明かりが暗い迷宮の闇を切り裂いた。

「まぶし……」

 目を細めたララベルだったが、だんだんとその瞳が大きく見開かれる。

「なんだ、ここはっ!?」

 煌々と輝く人口太陽照明灯、散水機から溢れる水、黒々とした土が床を覆い、野菜や果物の新芽が青々と伸びている。砂漠の収容所にあってはさぞかし珍しい光景だろう。

「ここがデザートホークスの秘密菜園だよ」

「すごい……すごすぎるぜ! セラ、お前は何者なんだ?」

 何者かと問われたら、答えてあげるが世の情けらしいけど、僕はただのセラ・ノキアでしかない。

「この街の魔導錬成師さ。さあ、デザートホークスの一員になったからにはララベルにも働いてもらうよ。ここではジャカルタさんの指示に従ってね」

「おう! なんでも言いつけてくれ」

 ララベルはとてもうれしそうだ。監獄長の娘ということもあって、友だちなんかいないみたいだから、対等に扱われて嬉しいのかもしれない。昨日交換した雌鶏を放してやると落ち着かなく周囲を歩き出した。盗まれる心配がないのでニワトリはここで飼うつもりだ。ひょっとするとララベルも籠の中の鳥だったのかな? だとしてもこれからはもう違う。彼女もまた自由の象徴、デザートホークになったのだから。
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