リタが僕を応援してくれる。

「な、なにさ。そもそもアンタはセラの何なの? まさか恋人?」

「わ、私は……生死を共にした相棒よ! 固い絆で結ばれているの!」

「ふーん……、じゃあ恋人ってわけじゃないんだ」

「そ、それは……」

 リタは口ごもってしまう。ララベルはずっと黙っているメリッサの方を向いた。

「じゃあアンタは? セラの恋人?」

「いや……」

「だったらセラと私が付き合っても問題ないな」

「許嫁だ」

 今度は僕も驚いた。

「はあっ? メリッサは何を言っているの? 初耳なんですけど」

「説明すると長い」

 端折らないでください!

「お前ら何やってんだよ、早く行こうぜ」

 何も知らないシドがやってきたが、部屋の中の空気を読み、一瞬で身を翻した。さすがは腕利きの斥候だ。

「悪い、邪魔したな」

「行かないで!」

 僕は壁に立てかけた鮫噛剣を掴むと、シドを追って部屋を飛び出した。



       ◇



 リタ、メリッサ、ララベルの間でどういう話があったかは知らない。だけど、部屋から出てきた三人はこれまでのことなどなかったかのように和やかな雰囲気だった。ひょっとして僕がからかわれていただけだろうか? 考えて見ればあり得ることだ。そもそも同棲とか許嫁とか突拍子もない話ばかりだ。

「え~と……」

 会話の糸口を探す僕にリタがにっこりとほほ笑みかける。

「私たちは友だちよね」

「うん、それはもう……」

「我が友よ……」

 メリッサも変だ。

「まあ、そこからスタートしてやるぜ」

 よくわからないが、ララベルも僕と友だちになりたかったようだ。

「そうそう、アタシもデザートホークスに入れてよ」

「ララベルも? お父さんが許してくれる?」

「親父のことは関係ない! 私は好きなようにやるんだから」

 これも何かの縁なのだろう。

「わかった、よろしくね。でも、活動内容は家族にも内緒だよ」

 地下にある菜園の情報はどこにも漏らしたくないのだ。

「わあってるって! アタシは口が堅いから安心しな」

 反抗期真っ盛りっぽいララベルなら監獄長に秘密を漏らすこともないだろう。その点は安心できそうだった。



 ジャカルタさんを迎えに行くと、もう家の外で僕らを待っていた。

「こんにちは、セラさん。おや、この娘さんは?」