と言われてもろくに家具もないところだ。珍しいのだろうけどクンクン臭いを嗅ぐのはやめてほしい。

「これ、昨日のお礼」

 そう言って突き出してきた袋には食べ物や魔結晶がたくさん詰まっていた。

「うわっ、チーズだなんて久しぶりだな」

「嬉しいか!?」

 ララベルは僕のシャツの裾を掴んで訊いてくる。

「うん。しばらく食べてなかったからね」

 滅多に手に入らない高級品だもん。

「でも、魔結晶はいいよ。こんなにたくさんもらうのは悪いから」

「いいから取っとけって! これがあればもっと広い部屋で暮らせるぞ」

 ララベルはずっしりと重たい袋を押し付けてくる。

「引っ越しは近いうちにするよ。それに、君からもらわなくても魔結晶はたくさんあるんだ」

「そっか……、じゃあ心配いらないな」

「そうそう、心配なんていらないよ」

「これでいつでも同棲できる」

「そうそう、いつだって大丈夫さ……はっ?」

 何を言っているんだ、この子は……。

「同棲ってなに?」

「説明させるなよ、恥ずかしいだろう……」

 このテレ方を見る限り言葉の意味は理解しているようだ。このマセガキめ……。

「いやいや、ララベルは十五歳だったよね? まだ成人したばかりじゃないか!」

「愛に年齢は関係ないって」

「年齢以前に僕らはそういう関係じゃないだろう?」

「だからこうして付き合おうって言いに来たんじゃん」

 お礼を持ってきたって言わなかったっけ?

「おーい、セラ、いつまで寝てるの?」

「遅いぞ」

 リタとメリッサがやってきた。今日も地下菜園へ行く約束をしていたのだ。三人の視線が交錯した。

「誰、その子は?」

「彼女はララベル。監獄長の娘さんだよ」

「セラ、こいつは?」

「リタ。僕とデザートホークスって言うチームを組んでいるんだ」

「ふーん……、よろしく。私はララベル。セラの彼女だよ」

 そういうことは勝手にきめないでほしい。

「彼女ってどういうこと!?」

 リタもあんまり興奮しないでほしい。

「いや、ララベルが勝手に言ってるだけだよ」

「さっき告白しただろう! アタシと付き合えよ!」

 そういう身勝手なところは父親にそっくり! 顔はとんでもなくかわいいけど……。

「いやいや、一方的に言われても困るよ」

「そうだ、そうだ!」