荷物と鳥かごは二人の男が持ってくれた。僕は案内されるままに怪我人のところへと向かう。間に合ってくれればいいのだが。



 中央棟はエルドラハの中心部に建つ八階建ての建造物だ。上層にある二階部分は監獄長のグランダスとその家族が住んでいる。怪我人というのはグランダスの一人娘という話だった。

 僕らは正面玄関を抜け厳重に警備された奥の階段へと向かった。この階段にはピカピカに磨かれた木製の手すりが付いている。居住区のつくりは黒い砂の本拠よりもさらに豪華だった。

「ララベルちゃん、パパの話を聞きなさい!」

「うるせえ、クソ親父!」

 扉の前に立つと聞き覚えのある監獄長のダミ声が聞こえてきた。うわあ、監獄長は自分のことをパパとか呼んじゃっているんだ。僕を連れてきた二人の部下もばつの悪そうな顔をしていた。ララベルというのが一人娘の名前である。怪我人と聞いていたけどやけに元気そうだ。

「監獄長、セラ・ノキアさんを連れてきました」

 部下の男がノックをすると室内が一瞬静まり返ってから、

「おう、入れ!」

 と野太い返事が返ってきた。

 通されたのは応接室のようなところだった。革張りのソファーだなんて前世で見て以来の家具が置いてある。ずいぶんと広い部屋だったけど、妙に圧迫された雰囲気があると感じた。それもこれも監獄長が三メートルはある大男だったからだ。

 体形はガチムチ、広く開いた襟から盛り上がった大胸筋が見えている。ごつごつしたジャガイモみたいな頭をスキンヘッドにそり上げていて迫力も満点だ。


『スキャン』発動

 対象:ドリアード・グランダス 全長二九七㎝ 四七歳

 固有ジョブ:看守

 スキル

 拡声:風魔法で声の音量を増幅させる

 捕縛術:魔法で具現化したロープにより対象の身動きを封じる  

 看守統率:自分の部下となった者の攻撃力と防御力をあげる

 威圧:対象者の身をすくませる

 鉄鎖術:囚人を縛り付けるための鎖を使った武術

 戦闘力判定:Bプラス



 いつも聞こえてくる声はスキルによって拡声されていたのか! めちゃくちゃ迷惑なスキルじゃないか。一種の騒音被害だよ、あれは。