最終的にはシドもノリノリで協力してくれることになった。



       ◇



 デザートホークスはメリッサを助っ人に加えてダンジョンに乗り出した。危なげなく地下一階を通過して、今は地下二階にいる。

「おっ、緑晶みーつけたっ!」

 魔結晶も順調に見つかり、背中のリュックサックもぱんぱんになっていた。

「大丈夫なの、そんなに担いで?」

 みんなの分も僕が担いでいるのでリタは心配そうだ。

「余裕だよ。でも次回からはリヤカーでも作って持ってきた方がいいかもね」

「リヤカー?」

「人が引っ張る荷車だよ」

 ポーターを雇うよりそっちの方が早そうだ。

 先頭を歩いていたシドが足を止めた。

「待て、人の気配がする……」

 シドは僕らをその場に残して、明かりも持たずにゆっくりと前に進んでいく。斥候の固有ジョブを持つ人は暗闇でも目が効くのだ。しばらくすると、シドはするするとこちらに戻ってきた。

「やっぱりそうだ。前方で待ち伏せしているやつらがいる」

 迷宮にはしょっちゅう強盗が出没する。人が集めた魔結晶や素材をかすめ取る汚いやつらだ。そういう輩は露見すると袋叩きに合うけど、犯罪者は後を絶たない。

「盗賊は全部で十五人だ。迂回するか?」

 数だけで言えば僕らの倍以上だ。余計なトラブルはいやだけど、放置するのもどうかと思う。善良な採取者が襲われることを考えれば良心が咎めるよね。それに迂回すれば一時間以上の遅れが出てしまう。

「排除するよ」

 そう言うと、メリッサとリタが同時に声を上げた。

「手伝おう」

「だったら私も!」

 そんな僕らを見てシドだけが苦笑を漏らす。

「まったく、顔に似合わず血の気の多い連中だぜ。俺がいちばん温和ときていやがる」

「いちばん悪人面なのにね」

「余計なお世話だっ!」

「シドは休んでて」

「バカ野郎、俺だってああいうやつらは大嫌いなんだよ」

 なんだかんだでシドだってやる気なのだ。



 何も気が付かないふりで歩いていくと覆面をした十五人の盗賊に囲まれた。相手が四人だけだと思って舐めた態度をしている。リーダーと思しき奴が剣を突き付けてきた。

「死にたくなかったら持っている魔結晶を全部おいていけ!」


『スキャン』発動

 対象:マコール・メッコラ 三十二歳 身長一七八㎝ 体重八二キロ