「いきなり許婚などと言ったらセラも困惑するだろう」
「しかし、王家復興を願う我らにとって、セラ殿は希望の星でもあります」
「セラが拒否することも考えられる。無理強いはできない……」
表情こそ変わらなかったがメリッサの声はかすれるように小さくなった。
「そんな弱気でどうしますか。我々で因果を含めて、なんとか婚姻に応じてもらうしかありません」
「そんな急には……は、恥ずかしいではないか」
「姫様?」
メリッサは決意を秘めた目でタナトスを見つめた。
「しばらくセラと行動を共にしてみる。そうすれば互いのことがもっと分かり合えるだろう。デザートホークスは地下四階でサンドシャークを討伐すると言うからついていこうと考えている」
「承知いたしました」
氷の鬼女と恐れられ、普段から冷静沈着なメリッサの体温が興奮で上がっている。タナトスもそれ以上の進言は避け、しばらく様子を見ることにした。
◇
地下四階に行ってダンジョンシャークと戦うという話をすると、リタは喜んで賛同してくれた。ところが、シドはあからさまに嫌そうな顔をしている。
「わざわざ危険なところにいかなくてもいいだろう?」
「だって、ダンジョンシャークの浮袋があれば散水機を作ることができるから」
「そんなこと言ったってよお……」
やっぱりシドは消極的だ。でも、ダンジョンに詳しいシドにはぜひとも一緒に来てもらいたい。
「畑が広くなればシドにいいものを作ってあげられるんだけどなぁ……」
「いいもの? なんだよ?」
スキル『発酵』を使えば比較的簡単にできるあれだ。
「焼酎」
「ショウチュウ? 聞いたことがないな」
「麦やナツメヤシで作れるつよ~いお酒だよ」
「酒だと!?」
釣れた! 予想はしていたけどチョロすぎだよ……。でも、シドのこういうところはかわいい。
「お酒ですって!?」
予想外にリタまで反応している。
「リタも飲みたいの?」
「うん、一度飲んでみたいと思っていたんだ」
リタはまだ飲んだことがないのか。そういえば僕だって、結城隼人としても、セラ・ノキアとしてもお酒を飲んだ経験はゼロだ。どんな味がするかちょっと興味はある。
「じゃあ、作物を作って、お酒を造ってみようよ。そのためにも地下四階でサンドシャーク狩りね!」
「しかし、王家復興を願う我らにとって、セラ殿は希望の星でもあります」
「セラが拒否することも考えられる。無理強いはできない……」
表情こそ変わらなかったがメリッサの声はかすれるように小さくなった。
「そんな弱気でどうしますか。我々で因果を含めて、なんとか婚姻に応じてもらうしかありません」
「そんな急には……は、恥ずかしいではないか」
「姫様?」
メリッサは決意を秘めた目でタナトスを見つめた。
「しばらくセラと行動を共にしてみる。そうすれば互いのことがもっと分かり合えるだろう。デザートホークスは地下四階でサンドシャークを討伐すると言うからついていこうと考えている」
「承知いたしました」
氷の鬼女と恐れられ、普段から冷静沈着なメリッサの体温が興奮で上がっている。タナトスもそれ以上の進言は避け、しばらく様子を見ることにした。
◇
地下四階に行ってダンジョンシャークと戦うという話をすると、リタは喜んで賛同してくれた。ところが、シドはあからさまに嫌そうな顔をしている。
「わざわざ危険なところにいかなくてもいいだろう?」
「だって、ダンジョンシャークの浮袋があれば散水機を作ることができるから」
「そんなこと言ったってよお……」
やっぱりシドは消極的だ。でも、ダンジョンに詳しいシドにはぜひとも一緒に来てもらいたい。
「畑が広くなればシドにいいものを作ってあげられるんだけどなぁ……」
「いいもの? なんだよ?」
スキル『発酵』を使えば比較的簡単にできるあれだ。
「焼酎」
「ショウチュウ? 聞いたことがないな」
「麦やナツメヤシで作れるつよ~いお酒だよ」
「酒だと!?」
釣れた! 予想はしていたけどチョロすぎだよ……。でも、シドのこういうところはかわいい。
「お酒ですって!?」
予想外にリタまで反応している。
「リタも飲みたいの?」
「うん、一度飲んでみたいと思っていたんだ」
リタはまだ飲んだことがないのか。そういえば僕だって、結城隼人としても、セラ・ノキアとしてもお酒を飲んだ経験はゼロだ。どんな味がするかちょっと興味はある。
「じゃあ、作物を作って、お酒を造ってみようよ。そのためにも地下四階でサンドシャーク狩りね!」