セラ・ノキアは十歳だ。十五歳の結城隼人からさらに五歳も若返ったんだから当然だ。体が華奢すぎて不安になるけど、成長期のまっさかりでもある。これからもっとがっしりしてくるに違いない。新しい世界はまだまだ不安だけど何とかなりそうな気がしていた。
三年の月日が流れた。
何とかなる? そんな甘い考えでいた頃もありましたよ、僕にも。まあ、生きてはいますがね、異世界は一筋縄ではいきませんでした。過酷を通り越して地獄と言ってもいいくらいの場所ですよ、ここは。何回死にかけたか数えきれないほどだもん。
何がひどいかと言うと、まず環境です。しっとりとした温帯湿潤気候の日本からやってきた僕が砂漠ですよ。梅雨が鬱陶しいだの、低気圧で怠いだの言っていた前世の僕を説教したいです。そんなものは灼熱の太陽と砂嵐に比べたら楽園の味付けにすぎません。ピリ辛みたいなカワイイもんですよ。
もうね、紫外線は凶器です。肌に突き刺さります。武器と言っても差し支えありません! 住環境だって最悪です。砂岩でできた掘っ立て小屋に比べれば、かつて住んでいた築二十五年のマンションは王侯貴族の宮殿でした。
それからご飯。まず過ぎです! 僕は飽食の国ニッポンで生まれたんですよ。寿司、天ぷら、すき焼きなんて贅沢はいいません! でも塩すらまともにないのは辛すぎます。あるのは日持ちのする麦や野菜や豆くらい。ご馳走は食料となる魔物の肉でございます。そんな魔物の肉だって火炎魔法で焙るだけの料理ですよ。あれが料理? もう信じられない! ああ、ママンの唐揚げが懐かしい!
ふう……、愚痴を言い出したら興奮してしまったよ。このように新しい世界は問題ばかりなのだ。でもね、いちばん大変なのは重力の呪いなんだ。この呪いは月日を追うごとにひどくなっている。
おんぶした子泣きじじいがゆっくりと成長していく感じと言えばわかってもらえるだろうか? 成長とともに僕の体力も上がっているはずなんだけど、呪いの効果はさらに上をいっている。最近では歩いただけで息が切れ、走るなんてとてもできないありさまだ。
それでも僕にだって生活がある。生きていくためにはご飯を食べなければならない。ここに送られてくる囚人は街の地下に広がる迷宮に潜り、魔結晶をとってくるのが基本的な生活スタイルだ。
三年の月日が流れた。
何とかなる? そんな甘い考えでいた頃もありましたよ、僕にも。まあ、生きてはいますがね、異世界は一筋縄ではいきませんでした。過酷を通り越して地獄と言ってもいいくらいの場所ですよ、ここは。何回死にかけたか数えきれないほどだもん。
何がひどいかと言うと、まず環境です。しっとりとした温帯湿潤気候の日本からやってきた僕が砂漠ですよ。梅雨が鬱陶しいだの、低気圧で怠いだの言っていた前世の僕を説教したいです。そんなものは灼熱の太陽と砂嵐に比べたら楽園の味付けにすぎません。ピリ辛みたいなカワイイもんですよ。
もうね、紫外線は凶器です。肌に突き刺さります。武器と言っても差し支えありません! 住環境だって最悪です。砂岩でできた掘っ立て小屋に比べれば、かつて住んでいた築二十五年のマンションは王侯貴族の宮殿でした。
それからご飯。まず過ぎです! 僕は飽食の国ニッポンで生まれたんですよ。寿司、天ぷら、すき焼きなんて贅沢はいいません! でも塩すらまともにないのは辛すぎます。あるのは日持ちのする麦や野菜や豆くらい。ご馳走は食料となる魔物の肉でございます。そんな魔物の肉だって火炎魔法で焙るだけの料理ですよ。あれが料理? もう信じられない! ああ、ママンの唐揚げが懐かしい!
ふう……、愚痴を言い出したら興奮してしまったよ。このように新しい世界は問題ばかりなのだ。でもね、いちばん大変なのは重力の呪いなんだ。この呪いは月日を追うごとにひどくなっている。
おんぶした子泣きじじいがゆっくりと成長していく感じと言えばわかってもらえるだろうか? 成長とともに僕の体力も上がっているはずなんだけど、呪いの効果はさらに上をいっている。最近では歩いただけで息が切れ、走るなんてとてもできないありさまだ。
それでも僕にだって生活がある。生きていくためにはご飯を食べなければならない。ここに送られてくる囚人は街の地下に広がる迷宮に潜り、魔結晶をとってくるのが基本的な生活スタイルだ。