「上の歯と下の歯の接触状態のこと。これを調整するとパフォーマンスが上がるよ」

「ぱふぉ?」

 僕は両手でシドの顔を抑える。

「お、おい……」

「大丈夫、痛くないから」

 たくさんの人を診療したからスキルの熟練度が上がっているみたいだ。僕はなんなくシドの治療を終えた。時間にして一〇分くらいだ。この調子で頑張れば、修理はもっと速くなるかもしれない。

「どう?」

「いや、よくわからんが……」

「そのうちにわかるよ。さあ、ご飯を食べよう」

「そうだな」

 僕らは昼ご飯に取り掛かる。硬いパンをちぎって口に入れたシドが不意に顔を上げた。

「どうしたの?」

「なんだかいつもより飯が美味い気がする。噛み合わせのせいかな?」

 嬉しそうにしているシドを見て、お昼ご飯がずっと美味しくなった。
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