戦闘を終えた女の人が患者の体を抑えてくれるのだけど、それでも動きは止まらない。これでは手の位置がぶれてしまうから魔法が上手く伝わらないよ。なんとか痛みを和らげる方法はないかな……? 試行錯誤していると頭の中でいつもの声が響いた。
(おめでとうございます。スキル『麻酔』を習得しました!)
全身麻酔だけじゃなくて局所麻酔にも対応しているぞ。さっそくこれを使って……。
『麻酔』でおとなしくなった男性の『修理』を続け、一八分ほどで完治させた。やっぱり治癒魔法ほど使い勝手はよくないな……。ここまで時間がかかってしまうと戦闘中は使えない。数をこなせばもっと早くなるのかな?
「ありがとうございました。なんとお礼を言っていいのやら」
二人がお礼に赤晶を差し出してきたけど、僕はそれを断った。レッドボアの肉が大量にあるからじゅうぶんだ。リタもシドもニコニコしている。
「しっかしこれはどうする? ここで解体して持てる分だけ持って帰るか?」
「え~、残していくなんてもったいないよ!」
リタは心底残念そうな顔をする。よほど肉が好きなようだ。
「そうはいっても、こいつは1トンくらいはありそうだぞ。加食部分だけでも四〇〇キロにはなるだろう」
「肉が四〇〇キロかあ……」
リタとシドはレッドボアをどうするか決めかねているようだ。たしかにこれは大きいもんな。どれどれ、どれくらいの重さがあるんだろう?
ズズズズズッ。
「お、運べないほどでもないよ」
持ち上げるのは大変そうだけど、引きずるだけなら問題ない。
「ほら、家までもって帰れそう」
喜んでそう告げたんだけど、みんなは黙って僕を見つめるばかりだった。
ズルズルとレッドボアを引きずって出口まで行くと、通行人はそろって道を開けてくれた。
「なんだ、あのガキ……」
「バカ、目を合わせるな!」
みんな視線を逸らして逃げるように通り過ぎていく。失礼な、僕はピルモアみたいに凶暴な男じゃないぞ。
「ヒッ!」
噂をすれば影ってやつ? たまたまやってきたピルモアだったけど、僕の顔を見た瞬間に道を引き返して、どこかへ行ってしまった。
「セラ、休まなくてもいいの?」
リタが心配そうに訊いてくるけど、僕はまだまだへっちゃらだ。
「うん、早く肉を食べたいもんね。リタもそうでしょう?」
(おめでとうございます。スキル『麻酔』を習得しました!)
全身麻酔だけじゃなくて局所麻酔にも対応しているぞ。さっそくこれを使って……。
『麻酔』でおとなしくなった男性の『修理』を続け、一八分ほどで完治させた。やっぱり治癒魔法ほど使い勝手はよくないな……。ここまで時間がかかってしまうと戦闘中は使えない。数をこなせばもっと早くなるのかな?
「ありがとうございました。なんとお礼を言っていいのやら」
二人がお礼に赤晶を差し出してきたけど、僕はそれを断った。レッドボアの肉が大量にあるからじゅうぶんだ。リタもシドもニコニコしている。
「しっかしこれはどうする? ここで解体して持てる分だけ持って帰るか?」
「え~、残していくなんてもったいないよ!」
リタは心底残念そうな顔をする。よほど肉が好きなようだ。
「そうはいっても、こいつは1トンくらいはありそうだぞ。加食部分だけでも四〇〇キロにはなるだろう」
「肉が四〇〇キロかあ……」
リタとシドはレッドボアをどうするか決めかねているようだ。たしかにこれは大きいもんな。どれどれ、どれくらいの重さがあるんだろう?
ズズズズズッ。
「お、運べないほどでもないよ」
持ち上げるのは大変そうだけど、引きずるだけなら問題ない。
「ほら、家までもって帰れそう」
喜んでそう告げたんだけど、みんなは黙って僕を見つめるばかりだった。
ズルズルとレッドボアを引きずって出口まで行くと、通行人はそろって道を開けてくれた。
「なんだ、あのガキ……」
「バカ、目を合わせるな!」
みんな視線を逸らして逃げるように通り過ぎていく。失礼な、僕はピルモアみたいに凶暴な男じゃないぞ。
「ヒッ!」
噂をすれば影ってやつ? たまたまやってきたピルモアだったけど、僕の顔を見た瞬間に道を引き返して、どこかへ行ってしまった。
「セラ、休まなくてもいいの?」
リタが心配そうに訊いてくるけど、僕はまだまだへっちゃらだ。
「うん、早く肉を食べたいもんね。リタもそうでしょう?」