シドが息を弾ませて感想を述べていた。斥候であるシドの索敵能力、リタの突進力、僕の攻撃力、バランスが取れていてとてもいいチームだと思う。

「私もいいと思うな。このチームなら地下四階でも活動できるんじゃない?」

「ああ、俺もそう思うぜ。念のためにもう一人くらいはメンバーがほしいけどな」

 ベテランの二人が言うのなら間違いないだろう。

「じゃあ、次回は地下三階で活動してみようか?」

「地下三階へ行くんなら第二区の嘆きの岩へ行こうぜ」

 嘆きの岩は風の通り道になっていて、石壁が泣いているように聞こえるからそう呼ばれている。

「何であんなところに? 魔結晶だってあんまり採れないでしょう?」

 リタの疑問にシドは指を振った。

「知られてはいないが、あそこはリボウル苔が生えているんだ」

 リボウル苔は薬の材料になる貴重な植物である。

「最近はポーターばかりやっていたから採りに行けなかったが、久しぶりに行ってみようじゃないか。俺の形見代わりに場所を教えといてやるぜ」

「僕が『修理』したんだから、シドの寿命は十年以上伸びているはずさ。形見分けだなんて気が早すぎるよ」

「そうかい。だったらリボウル苔でたんまり儲けてパーティーナイトとしゃれこもうぜ」

 次の目標も定まって、みんなのやる気も最高潮に達している。僕らは魔結晶を探しながら六区の奥地へと進んだ。


「きゃあああああっ!」

 突如、迷宮の通路に叫び声が響き渡った。といっても、ここではそう珍しいことじゃない。採取に入った人々を魔物が襲っただけのことだ。

「カネオン、しっかりして! 死んじゃ駄目よっ!」

 かなり危機的な状況のようだ。日常茶飯事の出来事とは言え見捨てる気にもなれない。良き行いには良き報いがあるとシステムさんは言った。たとえそうじゃなくたって、目の前で困っている人は助けたい。それはシドとリタも同じ気持ちのようだ。うん、やっぱりデザートホークスはいいチームだ。僕たちは目配せをして同時に走り出していた。