事情に通じたシドが教えてくれた。クランベル王国はエブラダ帝国に滅ぼされてしまった国であり、僕の両親の故郷でもある。あの中に僕の両親のことを知っている人がいるかな? そう考えるとなんとなく親近感を覚えた。
「あそこのチームは特別だ。活動場所は地下四階より下って話だし、あまりに強いので監獄長すら気を遣っているって噂だぜ。セラも不用意に近づくんじゃねえぞ。お前は人懐っこすぎるから――」
シドの話は続いていたけど、僕は見覚えのあるフードに目を止めた。『黒い刃』は全員が黒いフードを被っていたけど、その中で一人だけ金の縁取りがあるフードを被っている人がいる。あれは昨日会ったメリッサに違いない。
「おーい、メリッサ!」
呼びかけると、フードの人物が驚いたようにこちらを向いた。やっぱりメリッサだ。
「今から迷宮なの?」
メリッサはコクコクと頷いている。若干恥ずかしそうにしているのは気のせいかな?
「気を付けてねー」
大きく手を振って見送ると、メリッサも遠慮がちに手を振り返してくれた。
「な、なんで、『黒い刃』の首領と知り合いなんだよ……」
「メリッサのこと? ペンダントを直してあげたんだ」
「しっかし驚きだぜ。まさかセラが『氷の鬼女』と知り合いだったとはな」
「氷の鬼女? メリッサはそんな冷たい感じじゃないよ」
笑うとかわいいし……。
「あいつは氷冷魔法の遣い手なんだ。地下四階に現れたオオナメクジを一瞬で凍り付かせたのは有名な話だぞ。チームに手を出してくる奴らには容赦しないことでも知られている。かなり恐ろしい女なんだ」
「ふーん、そんな感じはしなかったけどなあ……」
ペンダントの修理を頼むときだってメリッサは礼儀正しかった。
「さあさ、そんなことはいいから私たちも出発しようよ!」
リタがフレイムソードの柄を握りながら催促する。早く使ってみたくて仕方がないようだ。
「聞け、クズども。今週はお前らが待ちかねた酒が入荷される予定だ。欲しければ稼げ!」
監獄長のダミ声がまた響いている。この放送は奴の趣味のようだ。デザートホークスは黒い刃の後ろから迷宮へと突入した。
◇
「あそこのチームは特別だ。活動場所は地下四階より下って話だし、あまりに強いので監獄長すら気を遣っているって噂だぜ。セラも不用意に近づくんじゃねえぞ。お前は人懐っこすぎるから――」
シドの話は続いていたけど、僕は見覚えのあるフードに目を止めた。『黒い刃』は全員が黒いフードを被っていたけど、その中で一人だけ金の縁取りがあるフードを被っている人がいる。あれは昨日会ったメリッサに違いない。
「おーい、メリッサ!」
呼びかけると、フードの人物が驚いたようにこちらを向いた。やっぱりメリッサだ。
「今から迷宮なの?」
メリッサはコクコクと頷いている。若干恥ずかしそうにしているのは気のせいかな?
「気を付けてねー」
大きく手を振って見送ると、メリッサも遠慮がちに手を振り返してくれた。
「な、なんで、『黒い刃』の首領と知り合いなんだよ……」
「メリッサのこと? ペンダントを直してあげたんだ」
「しっかし驚きだぜ。まさかセラが『氷の鬼女』と知り合いだったとはな」
「氷の鬼女? メリッサはそんな冷たい感じじゃないよ」
笑うとかわいいし……。
「あいつは氷冷魔法の遣い手なんだ。地下四階に現れたオオナメクジを一瞬で凍り付かせたのは有名な話だぞ。チームに手を出してくる奴らには容赦しないことでも知られている。かなり恐ろしい女なんだ」
「ふーん、そんな感じはしなかったけどなあ……」
ペンダントの修理を頼むときだってメリッサは礼儀正しかった。
「さあさ、そんなことはいいから私たちも出発しようよ!」
リタがフレイムソードの柄を握りながら催促する。早く使ってみたくて仕方がないようだ。
「聞け、クズども。今週はお前らが待ちかねた酒が入荷される予定だ。欲しければ稼げ!」
監獄長のダミ声がまた響いている。この放送は奴の趣味のようだ。デザートホークスは黒い刃の後ろから迷宮へと突入した。
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