だけど、敵にいつまでも好きにやらせるデザートホークスじゃない。傷を負いながら投げたメルルのマジックグレネードが炸裂すると、奴らの包囲網が一時的に崩れた。

「メリッサ、リタ、頼む!」

 合図とともに二人が高速で踏み込んでいく。バックアップはシドとララベルだ。

「くそ、なぜだ? どうしてこいつらには毒が効かねえ? とっくに動けなくなっている頃合いだぞ!」

 それは僕が定期的に「抽出」で毒を抜いているからだ。こいつらには教えてやらないけどね。ただ、戦闘の中での手当なので完全に抜けていないのが難点だ。おかげで皆の動きもベストな状態とはいいがたい。

 フレキシブルスタッフの攻撃を受けたカジンダスの剣が砕けた。おそらく剣を握っていた手の骨も無事では済まなかっただろう。一打ちごとに敵を薙ぎ払い、僕はオーケンへと迫る。僕も含めた全員が満身創痍の状態だけど「修理」を使う暇まではない。なんとか毒だけを抜いて、武器をふるい続けた。

 時間が経過して半分以上のカジンダスが倒れた。オーケンも自分の不利を感じて逃げ出す算段をしたようだ。

「くそ、お前たち、あいつらを阻止しろ!」

 後を部下に任せて戦艦の内部に入っていく。

「ここは任せて、セラは奴を追って」

「でも、奴らの武器には毒が」

 カジンダスの遺体を探っていたシドが小さな小瓶を取り出した。

「解毒薬なら見つけたぜ。安心して行ってこい」

 さすがは元カジンダスにいたことだけはある。

「すまない。頼んだよ」

 僕は単独でオーケンを追った。


 オーケンの居場所は想像がついた。おそらく中央制御室だ。エリシモさんを人質にして、きっとそこに立てこもっているはずである。一度は来たことがある場所だったので、僕は真っ直ぐに中央制御室を目指した。

 途中で隔壁が何枚もおりていたけど、その都度ロックを解除したり、壁に穴をあけたりして進んだ。少し時間はかかったけど、中央制御室のロックも何とか開錠してしまう。

「なんなんだよお前は! どうして扉を開けられる? どうしてしつこく追ってくるんだよっ!」

 オーケンが双剣を振り回しながら駄々っ子のように喚いている。その腕には怯えるエリシモさんが抱きしめられていた。

「オーケン、エリシモさんを返せ!」

 階段を踏み出そうとすると、オーケンが僕を制した。