「もうダメかと思ったけど、セラのおかげで帰ってこられたね。しかもこんなにたくさんのお土産付きだわ」

 僕らの背中には拾った魔結晶や持ち主のわからなくなった装備がたくさんある。全部修理で直しておいたから、価値のあるものと交換できるだろう。僕は呪いが解けたおかげで一〇〇キロ以上の荷物を背負っても平気だった。我ながらとんでもない成長期を経たもんだと感心する。

「とりあえず家に帰るよ。シドの怪我も診てあげたいからさ」

「明日にでも教えてもらった住所を訪ねてみるわ」

「うん、待っているからね」

 リタと別れて重い荷物を背負ったまま家まで走った。


「ただいま! シド、いる?」

 怪我が悪化してなきゃいいと心配したけど、シドは存外元気そうだった。

「なんだ、セラ? 随分大量の荷物を背負っているようだが平気なのか!?」

 山のような荷物を背負う僕をみてシドは目を丸くしている。

「うん、重力の呪いが解けたんだ! 見てよ、これ」

 僕は袋の中身を床に広げた。転がり出てきたのは赤や緑に輝く魔結晶の数々だ。

「すごいお宝だ……」

「僕とリタで採取したんだ。それに武器もあるよ。これだけあったら当分食べるのには困らないよね」

「あ、ああ……」

 シドは訳が分からないといった顔で僕を見つめている。

「あのね、僕もついに固有ジョブが決まったんだよ。魔導錬成師っていうんだ!」

「魔導錬成師? 聞いたことのないジョブだが……」

「いろんなものをなおしたり、改造したりできるんだよ。まあ、そこに座ってみてよ」

 僕はシドを椅子に座らせて、包帯を外した。

「おい、セラ。包帯は朝に替えたばっかりで……」

「いいから、いいから」

 シドの傷跡はいまだに赤く爛れていた。傷薬を塗ってあるけど、状態は良くなっていない。でも、これくらいの傷なら五分もかからずに完治するだろう。傷を確認した僕は適切な魔力を贈って治療を開始した。

「うおっ? なんだ、セラ。お前のスキルは治癒なのか?」

「似ているけど、これは修理っていう別のスキルなんだ。人の体だけじゃなくて物も直せるんだよ」

「なんと便利な……」

「どう、具合は?」

「ずきずきしていた痛みがなくなってきた」