リタが心配そうに僕の顔を覗き込んでいる。
「新しいスキルが使えるようになったんだ。きっと『修理』をたくさん使ったからだね」
「それはすごい。普通はこんなに早く次のスキルを覚えることはないのよ」
「そういうものなんだ……」
いままでスキルに縁がなかったから、習得スピードも速いのかな?
「今度のはどんなスキルなの?」
「『改造』っていうスキルなんだ。これまでは修理しかできなかったけど、物を改造してグレードアップできるみたい」
「じゃあ、私のウェストを細くしたりもできるの!?」
「あはは、それは無理だよ。今のところ『改造』は物にしかできないから」
「なーんだ」
「そんながっかりしないでよ。これはこれですごいスキルだと思うから」
僕は拾った弓を取り出した。
「弓? どうするつもり?」
「まあ見てて」
迷宮の魔物は強力すぎてこの弓では太刀打ちできない。でも僕には前世の知識がある。それを改造に応用すれば……。初めての改造ということで悪戦苦闘してしまったが、二〇分ほどで新しい武器が出来上がった。
「随分と妙な弓ね。両端に滑車がついているけど……こんなの初めて見る」
「これはコンパウンドボウっていうんだ」
たしか20世紀のアメリカで発明された弓だ。狙っている間の保持力が少ないので、安定した命中精度を誇る。初速も普通の弓より早いので威力も上がっているのだ。しかも僕はこれに魔法効果を追加してさらなる威力の向上を図った。滑車に書いた魔法陣が回転することによって無属性の魔力が力学的に作用するのだ。
地水火風の属性魔法を付与してもよかったんだけど、敵となる魔物との相性もある。弓自体は汎用性の高いものにして、属性は矢の方につけることにした。適応する魔結晶があれば改造することができるはずだ。
「おお、これすごいよ! 面白いように矢が的に当たるもん!」
試し撃ちをしたリタが喜んでいる。
「多少の魔力は取られてしまうけど、威力は保証するよ」
「実戦でも使えそうね。私の分も作ってくれるの?」
「うん、すぐに取り掛かるね」
二人分のコンパウンドボウを作って戦力を増強した。
◇
三日ぶりの地上は眩しかった。白熱した太陽が目を焦がして、まともに開けていることができない。でも、僕たちはほっと胸をなでおろしてもいた。
「新しいスキルが使えるようになったんだ。きっと『修理』をたくさん使ったからだね」
「それはすごい。普通はこんなに早く次のスキルを覚えることはないのよ」
「そういうものなんだ……」
いままでスキルに縁がなかったから、習得スピードも速いのかな?
「今度のはどんなスキルなの?」
「『改造』っていうスキルなんだ。これまでは修理しかできなかったけど、物を改造してグレードアップできるみたい」
「じゃあ、私のウェストを細くしたりもできるの!?」
「あはは、それは無理だよ。今のところ『改造』は物にしかできないから」
「なーんだ」
「そんながっかりしないでよ。これはこれですごいスキルだと思うから」
僕は拾った弓を取り出した。
「弓? どうするつもり?」
「まあ見てて」
迷宮の魔物は強力すぎてこの弓では太刀打ちできない。でも僕には前世の知識がある。それを改造に応用すれば……。初めての改造ということで悪戦苦闘してしまったが、二〇分ほどで新しい武器が出来上がった。
「随分と妙な弓ね。両端に滑車がついているけど……こんなの初めて見る」
「これはコンパウンドボウっていうんだ」
たしか20世紀のアメリカで発明された弓だ。狙っている間の保持力が少ないので、安定した命中精度を誇る。初速も普通の弓より早いので威力も上がっているのだ。しかも僕はこれに魔法効果を追加してさらなる威力の向上を図った。滑車に書いた魔法陣が回転することによって無属性の魔力が力学的に作用するのだ。
地水火風の属性魔法を付与してもよかったんだけど、敵となる魔物との相性もある。弓自体は汎用性の高いものにして、属性は矢の方につけることにした。適応する魔結晶があれば改造することができるはずだ。
「おお、これすごいよ! 面白いように矢が的に当たるもん!」
試し撃ちをしたリタが喜んでいる。
「多少の魔力は取られてしまうけど、威力は保証するよ」
「実戦でも使えそうね。私の分も作ってくれるの?」
「うん、すぐに取り掛かるね」
二人分のコンパウンドボウを作って戦力を増強した。
◇
三日ぶりの地上は眩しかった。白熱した太陽が目を焦がして、まともに開けていることができない。でも、僕たちはほっと胸をなでおろしてもいた。