地上への帰還を目指す僕らは迷宮の中を慎重に進んだ。僕の体は予想以上にハイスペックになっていたけど、一人で地下四階の魔物を圧倒できるほどじゃない。

「それでも、体や装備がすぐになおってしまうのはありがたいわ。セラが一緒でよかった」

「僕もリタには助けられているからお互い様さ。痛いところがあったら遠慮しないで言ってね」

「うん、私たちっていいコンビよね」

 リタがにっこりと笑いかけてくる。いいコンビか、確かにその通りだ。一人だったら地下四階からの脱出はもっと難しかっただろう。でもリタと二人なら何とかなっている。戦闘のコツも掴めてきて、二人の連携もよくなってきた。

「ねえ、セラ……」

 普段は凛々しいリタがもじもじとこちらを上目遣いで見上げてきた。

「どうしたの?」

「今後も私とチームを組まない? 私たち二人ならうまくやっていけると思うの」

「いいね! 僕もリタと一緒なら嬉しいな」

「ホント!? じゃあ、次回は二人で……」

「あと、僕の友だちのシドにも入ってもらおうよ!」

「えっ……?」

「今はお爺さんだけど、元は腕のいい斥候だったんだよ。迷宮のことにすごく詳しいんだ」

「そ、そうなんだ……」

 リタはなんだか浮かない顔をしている。さてはシドの実力を疑っているな。

「地理や、トラップにも詳しいんだよ。ちょっぴりエッチな人だけど、きっと役に立ってくれるはずさ」

「うーん、わかった。セラがそう言うんだったら入ってもらおう。ちょっぴりエッチってところは気になるけどね」

「あはは、大丈夫だよ。シドだってチームの女の子を変な目で見たりしないから」

 たぶん……。

「そうそう、さっきの戦闘で剣が刃こぼれしちゃったんだけど直してもらえるかな?」

「うん、見せて」

 硬い殻をもつポイズンマイマイを相手にしたので、そのときに欠けてしまったようだ。戦闘が続いたせいで、剣や防具を修理するのも慣れてきた。修理の時間もだいぶ短縮されたぞ。

「随分と手際が良くなってきたね」

「もう二十回以上はやっているから……あれ?」

 ふいに、頭の中で新しい扉が開かれた気がした。

(おめでとうございます、スキル『改造』を習得しました!)

 おお、新しいスキルが使えるようになった!?

「どうしたの、セラ?」