徹夜のせいで眠くてかなわなかった。体調は「修理」で治せるけど、脳にとっては睡眠が必用なのかもしれない。
「寝ていていいよ。私が操縦するから」
タンクの操縦はメリッサが変わってくれると言うので、ありがたくお願いした。僕は荷台に乗り込み、物資の間に挟まって目を閉じる。クローラーの振動が響いていたけど、目を閉じるとすぐに眠気がやってきた。
よくわからない夢を見た。夢の中で僕は前世の結城隼人の姿をしている。しかもまだ六歳くらいだ。縁日でお母さんにあんずの水飴を買ってもらうんだけど、僕は泣いている。本当に欲しかったのはあんずの水飴じゃなかったからだ。
「じゃあ、なにが欲しいの?」
お母さんに聞かれたけど、僕にはわからなかった。本当に欲しいものは自分でもわかっていなかったのだ。ただ、これじゃないと言って涙を流していた。
自分の涙が頬を伝う感触で目が覚めた。ぼんやりした頭に周囲の人の会話が入ってくる。なんだろう、良く知っている人たちの声だ……。
「セラは休んでいると言っている。お引き取り願おう」
メリッサの声だ……。
「別に食事を急げと言っているのではない。セラの様子が見たいと言っているのだ。そこをどけ」
こちらはパミューさんの声である……。
「しつこいな」
「貴様、皇女に対して無礼ではないか。身の程を弁えよ!」
なんだかケンカをしているような……。
「ふふん、お前こそ何ができる? 帝国皇女の力とやらを検分してやってもいいぞ」
「なんだと……私が誰に対しても寛大だと思うなよ」
まずい! 突然頭がはっきりとして、僕は荷台から飛び出した。
「ストップ! そこまでっ!」
メリッサが抜刀した騎士数人に囲まれている。僕は慌てて間に入った。
「セラ、そこをどけ。その女を不敬罪で捕らえる!」
「やめてください、パミューさん。メリッサも剣をしまって!」
二人ともにらみ合ったまま引こうとしない。
「かばい立てするな。お前も一緒に捕まえるぞ」
「だったらそうしてくださいよ」
「寝ていていいよ。私が操縦するから」
タンクの操縦はメリッサが変わってくれると言うので、ありがたくお願いした。僕は荷台に乗り込み、物資の間に挟まって目を閉じる。クローラーの振動が響いていたけど、目を閉じるとすぐに眠気がやってきた。
よくわからない夢を見た。夢の中で僕は前世の結城隼人の姿をしている。しかもまだ六歳くらいだ。縁日でお母さんにあんずの水飴を買ってもらうんだけど、僕は泣いている。本当に欲しかったのはあんずの水飴じゃなかったからだ。
「じゃあ、なにが欲しいの?」
お母さんに聞かれたけど、僕にはわからなかった。本当に欲しいものは自分でもわかっていなかったのだ。ただ、これじゃないと言って涙を流していた。
自分の涙が頬を伝う感触で目が覚めた。ぼんやりした頭に周囲の人の会話が入ってくる。なんだろう、良く知っている人たちの声だ……。
「セラは休んでいると言っている。お引き取り願おう」
メリッサの声だ……。
「別に食事を急げと言っているのではない。セラの様子が見たいと言っているのだ。そこをどけ」
こちらはパミューさんの声である……。
「しつこいな」
「貴様、皇女に対して無礼ではないか。身の程を弁えよ!」
なんだかケンカをしているような……。
「ふふん、お前こそ何ができる? 帝国皇女の力とやらを検分してやってもいいぞ」
「なんだと……私が誰に対しても寛大だと思うなよ」
まずい! 突然頭がはっきりとして、僕は荷台から飛び出した。
「ストップ! そこまでっ!」
メリッサが抜刀した騎士数人に囲まれている。僕は慌てて間に入った。
「セラ、そこをどけ。その女を不敬罪で捕らえる!」
「やめてください、パミューさん。メリッサも剣をしまって!」
二人ともにらみ合ったまま引こうとしない。
「かばい立てするな。お前も一緒に捕まえるぞ」
「だったらそうしてくださいよ」