うじうじ考えていても仕方がない、直接話を聞いてみよう。そう考えて僕は人垣をかき分けて前に出た。
「こら、近づいてはいかん!」
お姫さんたちを追いかけようとしたら兵士に邪魔をされてしまった。パミューさんたちはどんどん先へ行ってしまう。
「あのですね、皇女殿下たちに御用がありまして」
「お前のような子どもが殿下たちに面会できるわけがないだろう。ほら、あっちへ行った」
兵士たちは槍の柄を振って、僕をしっしと遠ざけようとする。組み伏せるのは簡単だけど、この人たちも悪気があってやっているわけじゃない。職務を遂行しているだけだもんなあ……。と、ここで見知った顔が目の前を通った。パミューさん付きの武官、エイミアさんだ。
「エイミアさーん!」
僕は大きく手を振って存在をアピールする。
「なっ、セラ君ではないか!」
「あはは、今日は軍服を着ているんですね。やっぱりこっちの方がしっくりくるなあ。メイド服姿もかわいかったですけど」
今日のエイミアさんはパリッとした帝国士官の格好をしていた。
「ば、バカ者、大きな声で言うな!」
エイミアさんは僕の方へ走り寄ってきた。
「大尉殿、この少年は?」
「ああ……よい、この子は私が預かる」
「ハッ!」
兵士は脇によけて僕を通してくれた。
エイミアさんは呆れたような目つきをした後、すこし苦笑した。
「まったく、セラ君が逃げ出したせいで大変だったのだぞ」
「なにかあったのですか?」
「パミュー様が癇癪を起こされてな、国宝級の壺が五個も粉々だ」
見境なく物に当たり散らしたというわけですね。
「一時は君の捕縛隊まで編成されたんだが、エリシモ殿下が説得してその話はなくなった。私が隊長をするところだったんだぞ」
「エイミアさんと鬼ごっこですか。なんだか楽しそうだな」
「勘弁してくれ。私は暑いのが苦手だ」
かっちりと着込んだ軍服は見るからに暑そうだ。こんな姿を見ているとなんだか可哀そうになってしまう。
「時間があったら僕の家へ遊びに来てください。部屋の中を涼しく保つ魔道具を製作してあるんです。それに冷たい飲み物も」
「こら、近づいてはいかん!」
お姫さんたちを追いかけようとしたら兵士に邪魔をされてしまった。パミューさんたちはどんどん先へ行ってしまう。
「あのですね、皇女殿下たちに御用がありまして」
「お前のような子どもが殿下たちに面会できるわけがないだろう。ほら、あっちへ行った」
兵士たちは槍の柄を振って、僕をしっしと遠ざけようとする。組み伏せるのは簡単だけど、この人たちも悪気があってやっているわけじゃない。職務を遂行しているだけだもんなあ……。と、ここで見知った顔が目の前を通った。パミューさん付きの武官、エイミアさんだ。
「エイミアさーん!」
僕は大きく手を振って存在をアピールする。
「なっ、セラ君ではないか!」
「あはは、今日は軍服を着ているんですね。やっぱりこっちの方がしっくりくるなあ。メイド服姿もかわいかったですけど」
今日のエイミアさんはパリッとした帝国士官の格好をしていた。
「ば、バカ者、大きな声で言うな!」
エイミアさんは僕の方へ走り寄ってきた。
「大尉殿、この少年は?」
「ああ……よい、この子は私が預かる」
「ハッ!」
兵士は脇によけて僕を通してくれた。
エイミアさんは呆れたような目つきをした後、すこし苦笑した。
「まったく、セラ君が逃げ出したせいで大変だったのだぞ」
「なにかあったのですか?」
「パミュー様が癇癪を起こされてな、国宝級の壺が五個も粉々だ」
見境なく物に当たり散らしたというわけですね。
「一時は君の捕縛隊まで編成されたんだが、エリシモ殿下が説得してその話はなくなった。私が隊長をするところだったんだぞ」
「エイミアさんと鬼ごっこですか。なんだか楽しそうだな」
「勘弁してくれ。私は暑いのが苦手だ」
かっちりと着込んだ軍服は見るからに暑そうだ。こんな姿を見ているとなんだか可哀そうになってしまう。
「時間があったら僕の家へ遊びに来てください。部屋の中を涼しく保つ魔道具を製作してあるんです。それに冷たい飲み物も」