規則正しい日々が続いていた。日の出とともに起き出して、タロスや闘神との訓練から一日が始まる。リタは毎日のようにやって来て剣の闘神と訓練をしていた。その甲斐あって、リタの戦闘力判定はBマイナスからBへと成長した。

 僕もタロスとの訓練に余念がない。黒い刃の活動が暇なときはメリッサも来て三人で修行することもあった。

 修行が終わると朝ごはんだ。リタが作ってくれることもある。

「セラの料理の方が美味しいけど」

 そんなことを言って謙遜するけど、リタの料理だってとっても美味しいんだ。きっと人柄が料理にも出るのだと思う。リタの作るものは温かみがあって優しい味がする。

 そういえばメリッサも料理を作ってくれた。初めてのときは凍ったスイカが出てきてびっくりさせられたものだ。

「これはなに?」

「氷スイカ」

「そのままのネーミングなんだね」

「味はいい……」

 たしかに美味しかった。そして冷たかった。ただ、メリッサは頭がいい。それに頑張り屋さんでもある。スープの作り方を教えてあげたらすぐにコツを覚えた。きのうも冷たいジャガイモのポタージュを作ってくれた。一つだけ気になるのは、いつも冷たい料理ということかな……。僕の「料理」に対抗して、魔法を使わずにはいられないようだ。

 シルバーホークの制作も順調だ。いちばん難しい浮遊装置はすでに完成して、今は機体の骨組みを作っている最中である。夕方になるとミノンさんの出勤に合わせてシドがやってくる。そしてシルバーホークの制作を手伝ってくれるのだ。

「俺が稼ぐから酒場の仕事は辞めろって言ってんだけどさ、言うことを聞いてくれねえんだよ。シドがケガをしたときは私が稼がないと、とか言ってさ。俺って愛されてるよなあ」

 ずっとのろけ話をしながらだけど、手もきちんと動かしてくれるので、けっこう役に立ってくれている。そんなこんなでシルバーホークも順調に形になってきた。

「飛空艇っていうから、いつも飛んでくるあれを想像していたけど、こいつは思っていたよりずいぶんと小さいんだな」

「試作機だからね。いってみればシルバーホーク0式ってところだよ」

 0式は二人乗りになっているのだ。

「ふーん。飛空艇の形とはだいぶ違うなあ。本当に飛ぶのか?」

「飛ぶはずだよ。これは飛空艇というよりも飛行機って呼ばれる乗り物に近いかな。だから似ていないのは当然なんだ」

 スピードを重視した結果、僕が造るのは飛行機に近い形状になった。まあ、重力魔法を応用した浮遊装置を組み込むから、飛行機とも違う機体ではあるんだけどね。