「できたよー!」

 声をかけるとみんながわらわらと集まってきた。

「ちゃんとお湯が出るかな……」

 湯沸かし器をオンにしてから蛇口をひねると、湯気を立てながらお湯が出てきた。

「うん、ちゃんと適温になっている。ほら、触ってごらんよ」

 みんなが楽しそうに浴槽に手を入れていた。

「ああ、もう我慢できないわ」

 そう言って、ミレアがやおら靴を脱ぎだした。

「ええっ!? ダメだよこんなところで脱いじゃ!」

「あら、なにを言っているのかしら? 私は足湯を楽しむだけよ」

「あ、足湯?」

「ええ、期待させちゃったかしら? シドもいるのにこんなところで脱ぐわけがないじゃない」

 それもそうか……。でも、ミレアはときどき突拍子もないことをするから……。

「足湯なら私もやろうかな」

「アタシも!」

 リタやララベルもブーツを脱いで足を洗い出した。

「だったら俺も入るぞ」

 シドもブーツを脱いでいる。

「ほら、セラとメリッサも来なさい」

 ミレアが妖しく手招きした。

「入ろう」

 メリッサが僕の手を引いてくれる。

「おーい、ポン太。ビールを持ってきてくれ!」

 シドがさっそくポン太をこき使っていた。

「私も貰おうかしら。セラの血を一滴落としてくれたら最高なんだけど……。我ながらいいアイデアね。このカクテルをレッドアイって名前にしちゃおう」

 僕とメリッサも頷きあってブーツを脱いだ。メリッサの足はまぶしいくらいに白くて、見ていると気恥ずかしくなってしまう。

「なに?」

「な、何でもない。早く入ろう」

 ああ、なんでこんなに意識してしまうんだろう? メリッサの方を見ないようにして足を洗った。

 お湯に足を浸けると、ジンワリとした心地よさが広がった。

「そうだ、いいことを思いついたぞ」