もともとはタンク型のゴーレムだったんだけど、捕まえて人が操縦できる乗り物に改造してしまったのだ。戦車の車体にロボットの上半身がついていたので、アームを使っての荷物の上げ下ろしも自由自在。今ではダンジョン探索の強い味方として、デザートホークスになくてはならない存在になっている。

 数も三台に増えたから運べる物資の量も格段に上がった。新しいタンクBK-01を見つけたらまた改造して、一人一台タンクを持ちたいというのがみんなの願いだったりする。

「そうだ、タンクもカスタムしちゃおうかな」

「カスタムって、どういうことだ?」

「もっと使いやすく便利にしたいんだよ。たとえばキャンピングカーみたいにさ」

「キャンピングカー?」

 おっと、この世界にキャンピングカーはなかったか。

「タンクの荷台にも居住空間を作るって感じかな」

「はあ? 荷車の上で生活しろってか? 不便そうなんだが……」

「まあそうなんだけど、収納をうまく考えれば案外快適になるもんなんだよ」

 僕が考えているのは軽自動車をカスタムしたようなキャンピングカーだ。タンクはダンジョンの通路を行き来できるほど小型だからね。

「荷台にちょっと休めるスペースを作ったり、冷蔵庫やキッチンなんかも取り付けたりしてさ」

「お、酒を冷やしておけるのか?」

「作戦行動中の飲酒は禁止します」

「チェッ」

 当り前じゃないか。

「でもさ、冷蔵庫があれば生の食材を冷凍しなくても持ち運べるんだよ。これってすごく便利だろう? キッチンがあればそのまま調理もできるわけだし」

「まあそうだな」

「よーし、帰ったらタンクのカスタムをしよっと!」

「まったく、元気になったもんだな。つい最近までは青い顔をしてヒーコラ動いていたガキだったのによ……」

「なんか言った?」

「最近のセラは楽しそうだって言ったんだよ」

「まあね。それを言うならシドだって同じだろう?」

 同棲を始めてからますます若返っているような気がする。

「へへっ、わかるか? 昨日も夜中までミノンが寝かせてくれなくてさ」

 シドのイチャラブ生活を無理やり聞かされながら、家まで帰る羽目になってしまった……。