「おもしろそうですね。でも、エルドラハで仲間が僕の帰りを待っているんです」

「だったらお仲間も一緒に来てもらいましょうよ。遺跡の調査チームとしてセラたちを雇うわ」

 それもおもしろそうだけど、誰かに雇われるのは面倒という気もする。デザートホークスの面々だって束縛を嫌うと思うのだ。でも、短期間なら雇われてもいいと言うかもしれない。

 シドとリタはお酒や食べ物で釣りやすいし、ララベルだって楽しそうな遊び場を見たらすぐに飛びつくぞ。特にシドはエッチだから、綺麗なお姉さんに頼まれたら絶対に断らないと思う。

「そのことは治療の後でお話ししましょう。まずはエリシモさんの体を治してからじゃないと」

「そうね。では始めましょうか」

 準備を整えて最後の治療を開始した。


 三回目の治療も無事に終わり、エリシモさんに刺さっていたトゲはすべて抜けた。傷の治療も終わって、スベスベでツルツルの肌がよみがえっている。これならエリシモさんも満足してくれるだろう。

 エルドラハを出発して五日が過ぎた。なんだか長く滞在している気がする。治療は終わったのでそろそろ帰ることを考えなきゃ。

 帰ったらさっそくダンジョンに潜り、小型飛空艇を作るための材料集めだ。みんなは元気にしているだろうか? 今日もパミューさんに頼んで街へ出かけてみようかな。まだまだ買いたいものはある。第二皇女様を治療したんだから、それくらいの自由は認められるよね。

 部屋を出ると、エイミアさんが僕のことを待っていた。

「パミュー様がお待ちです」

「ちょうどよかった、僕もお話があったんです」

「それではこちらにどうぞ」

 エイミアさんは広い居間へと案内してくれた。部屋の真ん中付近にはソファーが何脚か置かれ、大きな銀水羊の毛皮がかけてあった。銀水羊は湿地帯に住む希少種だけど、柔らかな手触りの毛で知られている。

 銀水羊の毛皮で作ったコートはとてつもない高値で取引されるそうだ。でも、体はそれほど大きくない。これほど大型の銀水羊は滅多にいないだろう。

 ソファーではパミューさんが足を延ばしてくつろいでいた。

「治療はどうだった、セラ?」

「すべて終わりました。これですっかり元通りです」

「そうか、よくやってくれたな」

 パミューさんの機嫌はよさそうだ。これなら今日も街へ行く許しが得られるだろう。

「それで、今日も街へ行って買い物をしたいのですが、よろしいですか?」