人々の文句に兵士たちは苛ついたように剣を抜いた。
「いいかげんにしないか! 体にわからせてやってもいいんだぞ」
兵士たちが武器を構えると、人々は恐ろしくて一歩後ろに下がってしまった。
一般的な住民の戦闘能力はE~?マイナスくらいが平均だ。それに対して監獄長の直属部隊はD~C判定ほど。湖に詰めかけた住人は一〇〇人くらいいて、四〇人くらいの兵士の倍以上はいる。でも戦闘になったら、あっという間に制圧されてしまうだろう。
せっかくエルドラハがオアシスになろうとしているのに、その水が血で染まるなんてばかばかしい。
「ちょっと、止めてください」
僕は一歩前に出た。
「おっ、銀の鷹だ! 銀の鷹が来てくれたぞ!」
あんまり頼られるのはいやなんだけど、人々は嬉しそうにまた一歩前にでた。今度は兵士たちが半歩下がる番だった。
「クッ、セラ・ノキアか……。どういうつもりだ?」
剣の切っ先が僕に向けられたけど、わずかに震えているのが分かった。ただ、僕だって争いたいわけじゃない。話し合いたいだけだ。
「湖を封鎖するってどういうことですか? こんなに暑いのに」
「俺たちはそう命令を受けた。ここを通すわけにはいかない」
そうなんだよね、現場の兵士に文句を言ってもらちが明かないってのはよくあることだ。ここでクレーマーなら「責任者を呼べ!」ってなるんだけど、エルドラハの住人でそれを言う人はいない。だって監獄長のグランダスは恐ろしく、それは自分の死刑宣告書に自らサインをするようなものだからだ。
「わかりました、監獄長と話をつけてきます」
「俺と話をつけるだってぇ?」
水辺に張られたタープの陰から、大きな人がぬっとあらわれた。そのダミ声の主は間違えようがない。監獄長グランダスだ。押しかけていた住民は青ざめたけど、僕は心の声を素直に言葉にした。
「ずるいじゃないですか、自分ばっかり!」
「そうだぞ、親父!」
ララベルも僕と一緒に監獄長を非難する。監獄長は少しだけ困った顔になってから手招きした。
「仕方がねえな。お前たちもこっちに来て涼め。だが、他の奴らはダメだ」
それじゃあ意味がない。
「どうしてですか? みんな一緒に楽しめばいいだけじゃないですか」
「いいかげんにしないか! 体にわからせてやってもいいんだぞ」
兵士たちが武器を構えると、人々は恐ろしくて一歩後ろに下がってしまった。
一般的な住民の戦闘能力はE~?マイナスくらいが平均だ。それに対して監獄長の直属部隊はD~C判定ほど。湖に詰めかけた住人は一〇〇人くらいいて、四〇人くらいの兵士の倍以上はいる。でも戦闘になったら、あっという間に制圧されてしまうだろう。
せっかくエルドラハがオアシスになろうとしているのに、その水が血で染まるなんてばかばかしい。
「ちょっと、止めてください」
僕は一歩前に出た。
「おっ、銀の鷹だ! 銀の鷹が来てくれたぞ!」
あんまり頼られるのはいやなんだけど、人々は嬉しそうにまた一歩前にでた。今度は兵士たちが半歩下がる番だった。
「クッ、セラ・ノキアか……。どういうつもりだ?」
剣の切っ先が僕に向けられたけど、わずかに震えているのが分かった。ただ、僕だって争いたいわけじゃない。話し合いたいだけだ。
「湖を封鎖するってどういうことですか? こんなに暑いのに」
「俺たちはそう命令を受けた。ここを通すわけにはいかない」
そうなんだよね、現場の兵士に文句を言ってもらちが明かないってのはよくあることだ。ここでクレーマーなら「責任者を呼べ!」ってなるんだけど、エルドラハの住人でそれを言う人はいない。だって監獄長のグランダスは恐ろしく、それは自分の死刑宣告書に自らサインをするようなものだからだ。
「わかりました、監獄長と話をつけてきます」
「俺と話をつけるだってぇ?」
水辺に張られたタープの陰から、大きな人がぬっとあらわれた。そのダミ声の主は間違えようがない。監獄長グランダスだ。押しかけていた住民は青ざめたけど、僕は心の声を素直に言葉にした。
「ずるいじゃないですか、自分ばっかり!」
「そうだぞ、親父!」
ララベルも僕と一緒に監獄長を非難する。監獄長は少しだけ困った顔になってから手招きした。
「仕方がねえな。お前たちもこっちに来て涼め。だが、他の奴らはダメだ」
それじゃあ意味がない。
「どうしてですか? みんな一緒に楽しめばいいだけじゃないですか」