メリッサの瞳から二筋の雫が流れ落ちた。僕にとっては青天の霹靂だ。

「ど、どうして……」

「う。うう……、えーん、えーん」

 あのメリッサが声を上げて泣いている?

「もう泣かないで」

「えーん、えーん」

 どうしていいかわからなくて僕はメリッサを抱きしめた。でも、やっぱりメリッサはそのまま泣き続けていた。



 僕の考えは決まったけど、他のメンバーの気持ちを確かめる必要が残っていた。リタだってずっとエルドラハから出ていきたいと言っていた。シドはどうだろう? ララベルは親が監獄長だもんな……。ミレアは?

 話が決裂すればデザートホークスの解散も考えられたけど、ことは案外スムーズに動いた。

「わたしもデザートフォーミングマシンを動かしたいな。それはそれで夢があるじゃない」

 と、リタ。

「なんでもいいぜ。それより早く帰ってビールを飲ませてくれよ」

 シドにはずっとビールを作ると約束していた。

「アタシと親父は別さ。アタシはセラの考えを支持するぜ」

 ララベル。

「お姉さんはね、セラさえいてくれればそれでいいの。だから、たまに血を吸わせてね。今晩どーお?」

 これはミレアだ。

「ありがとう、みんな。お礼と言っては何だけど、みんなが傷一つ追わないように僕は頑張るよ。完璧な作戦を立てるからね!」

 メンバーが快く聖杯をデザートフォーミングに使っていいと言ってくれて僕は感動した。仲間たちのためなら命だってかけられる。メリッサの話によると聖杯の間は特に強力なゴーレムたちが守っているそうだ。

「部屋の両脇には十二闘神のような様々な武器を持った巨大なゴーレムが並んでいて、その動きは達人の域だ」

 十二闘神はそれぞれ、剣、槍、杖、斧、槌、弓、昆、薙刀、棘鞭、鎌、短剣、輪を持つ戦の神だ。

「しかも、その奥には十二闘神を率いる戦神タロスのゴーレムが控えていて、聖杯は奴が守っている」

 黒い刃とデザートホークスを合わせても四十五人。その数でゴーレムたちを倒すのは難しいだろう。

「みんな、僕に三日ちょうだい。三日で何とかしてみせるから」

 作戦を説明して、僕はみんなに協力を求めた。
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