また、ポピュラーナイトは騎乗できるようにもした。これによってデザートホークスの機動力が大いに上がったぞ。ゴーレムは魔結晶をエネルギー源としているので定期的にやらなければならない。そのせいだろう、この階には魔結晶があまり落ちていない。きっとゴーレムたちが食べてしまったのだと思う。



 その夜は黒い刃と一緒に露営した。小さな小部屋を封鎖して安全地帯を作り、食事や情報を分け合うことができた。夕食も終わり、僕はメリッサと黒い刃の装備を『修理』している。

「ずいぶんと激しい戦闘をしたみたいだね」

 剣や槍は歯がボロボロになっていたし、鎧も傷だらけだ。

「地下七階は予想以上だった」

 金属でできたゴーレムを相手にすれば、装備がここまでひどい状態になってもおかしくない。黒い刃くらいになると遠征中に修理をするために野鍛冶の道具は持っている。だけど、それでは追い付かないくらい損傷が激しいのだ。

「実は聖杯を見つけた」

 メリッサはとんでもないことを打ち明けてきた。

「本当なの?」

「セラに嘘は言わない」

 僕もそう思う。メリッサは僕に嘘をつかない。

「もう手に入れたってこと?」

「いや、撤退した。聖杯を守るゴーレムが強すぎたのだ」

 メリッサと黒い刃を退けるだなんて、相手はどれだけ強いんだ!?

「セラ……明日見せたいものがある。付き合ってくれないか?」

「いいよ、午前中にみんなで行こう」

「いや、二人だけで行きたい」

 メリッサは真剣な目をしていた。きっと大切な理由があるのだろう。

「わかった。二人だけで行こう」

 そのように返事をするとメリッサは納得したようにうなずき、それ以上は何も話さなかった。



 翌日、僕とメリッサは約束通りみんなとは別行動をとった。見せたいものというのは地下七階の中心部にあるそうだ。何があるかはまだ聞いていないけど、かなり重要なモノらしい。ゴーレムとの戦闘は避けて、ひたすら道を急いだ。

「着いた」

 目の前には大きな両開きの扉がある。扉の高さは五メートルくらいあるだろう。重そうな鉄の扉だったけど、力を込めて押すと内側に開いた。

「まるで巨大プラントだ……」