残りが二体になると、討伐はグッと楽になった。しかもメリッサのサポートまである。僕は余裕をもってポピュラーナイトを討ち取り、他のメンバーの救援に向かった。


「残りは貴様だけだ、覚悟しろ!」

 キャブルさんが改造済みのタンクを攻撃しようとしているところだった。

「待って、キャブルさん! それは僕のタンクだから!」

 危ないところでキャブルさんの腕を捕まえた。

「若君のタンク?」

「僕が改造して使っているの」

「なんと! 若君はゴーレムをも使役しますか? これでグランベル王国もますます安泰でござる。うぅっ……」

 キャブルさんは大げさすぎるよ。僕はメリッサに向き直った。

「ありがとう、助けてくれて」

「礼などいい」

 メリッサは淡々と話していたけど、ちょっぴりだけ照れているのが僕にはわかる。

「ちょっと、セラは氷の鬼女と知り合いなの?」
メリッサと話していると、ミレアが僕の肩に手をかけながら割って入ってきた。

「ミレア・クルーガーか……」

 二人は顔見知りのようだ。

「私はセラの許嫁だ」

「はあっ? どういうことよ!?」

「説明すると長い」

 またこのくだりですか……。

「メリッサ、そのことは先日……」

「わかっている。ミレア・クルーガーを驚かせてみたかっただけだ」

 さては、人が驚くことに密かな喜びを感じ始めたな。ミレアは理解が追い付いていないようだ。

「つまりどういうこと?」

「えーと、話は本当だけど親同士の取り決めなんだ。だから保留中って感じかな」

「そう言うわけだ。セラに馴れ馴れしく触るなよ。私の男だからな」

 淡々としているけど目が本気だった。

 君子危うきに近寄らず、というわけではないが、僕は二人を無視して動かなくなったゴーレムに近づいた。使えるかどうかを調べたい。一体一体丁寧に調べたけど、どれも再利用が可能だった。

 ゴーレムたちの自律的な攻撃性を取り除き、簡単な命令を覚えさせた。『待て』『ついてこい』『目標を攻撃』『戻れ』『防御』などで、犬に命令をするような感じで言うことをきかせている。四〇ワードくらいは理解できるので、今後の活躍に期待したい。