「そんなわけないだろう!」

 ロボ好きではあるけど、そこまで特殊な性癖はない。せっかくのロボだから有効利用したいだけだ。自律回路は雷撃で焼ききれていたけど、操縦するタイプにしてやれば荷車くらいは引けそうだった。



 安全地帯まで移動した僕はスキルを駆使してタンクゴーレムを本物のタンクに改造した。二時間もかかってしまったけどその価値はあるはずだ。

「できたぞ!」

 僕の声に休憩していたデザートホークスが集まってくる。

「ほう、外見もだいぶ変わったな。頭がなくなっている」

「その通り。敵を認識するセンサーとか、攻撃を考える能力は頭部に集中していたんだ。だからそれは取っ払って、操縦席にしちゃった」

 首から下はコックピットになっていて乗り込むことができる。屋根はない。エルドラハで雨は降らないからね。

「こいつを動かすことができるのか?」

 ララベルが興奮している。

「そういうふうに改造したからね! 見ていて」

 タンクに乗り込みレバーを動かすと上半身がクルクルと回り出した。腕のアームも自在に動くので、荷車に荷物を積むのも自由自在だ。

「おお! アタシを持ち上げてみてくれ!」

 ララベルのリクエストどおりに胴体を掴んで持ち上げる。マジックハンドは微妙な力加減ができるので、生卵を掴んでも潰すことはない。天井近くまで上げられてララベルはきゃっきゃとはしゃいでいた。

「これでセラが荷物を運ばなくて済むわね」

 リタがタンクに上がってきた。

「うん、これからはこのタンクの仕事だ。リタも操縦を覚えてよ」

 僕は操縦席をリタに譲る。不安そうな顔をしながらもリタはコックピットに滑り込んできた。まずは前進と後進、左右への旋回を覚えてもらった。

 三〇分ほどの講習で全員がタンクの操縦方法を覚えた。そんなに難しいものでもないし、迷宮の壁にぶつけたところで苦情はどこからも来ない。これからはガンガン活用していくつもりだ。

「ねえ、ゴーレムだったらどんなのが相手でも、こんなふうに改造できちゃうわけ?」

 ミレアの質問にハッとさせられた。

「わかんないけど、破損した機体を再利用することは基本的に可能だと思う」

「つまり、手下をいっぱい作れるってことよね?」