弱点:頭部への電撃

 戦闘力判定:Bマイナス



 戦闘力判定で言えばこれまでで一番強い。ただ、頭部への電撃攻撃が弱点なら、雷撃のナックルを持つ僕は有利とも言えた。

 あえて無造作に真っ直ぐ進むと、突然マジックハンドの先端が伸びて僕を襲ってきた。ロケットパンチとはいかなくても、高速で伸びてくるパンチにはびっくりした。パワーは僕以上かもしれない。重い金属の塊が飛んでくるのだから受け止めるのは無理だろう。魔導爆発型反応シールドでも受けきれないな。おそらく粉砕される。だけど、こいつの攻撃は直線的だ。タイミングを合わせて……。

 飛んできたパンチを紙一重で避けて、そのまま頭部へと飛びつく。雷撃のナックルを発動させて、両手で挟むように拳を打ち付けた。

「ギヤァアアアアアアン!」

 不快な金属音を立ててゴーレムはのたうち回ったけど、十秒もかからずに動きは停止した。電撃で回路でも焼き切れたのだろうか?

 リタが盾を構えながら近寄ってきた。

「終わったの?」

「うん、もう動かないよ」

 全員が安堵のため息をつく。と、ミレアが後ろから突然抱きついてきた。

「すごいわ、セラ! 私でさえかなわなかったゴーレムを一撃で倒しちゃうんなんて!」

「一撃じゃないよ。先にララベルとシドが駆動装置を壊しておいてくれたからね。そうでなかったらあんなに簡単にはいかなかったと思う。それに、ミレアも空中を飛び回ってゴーレムをけん制していてくれただろう?」

「見ていてくれたんだ」

 なんだかんだでミレアは気が遣えるのだ。ルルベルは動かなくなったゴーレムを手のひらでぺちぺちと叩いた。

「こんな魔物がいるとは驚きだぜ。単体だからよかったけど、群れで襲ってきたらヤバかったんじゃないか?」

 もうそれは魔物の群じゃなくて機甲師団って呼ばれる奴だよ。

「それは言えるね。まあ、地下七階は六階ほど広くはないから、大規模に展開される恐れはないけどね」

 シドは周囲を警戒しながらソワソワとしている。

「おい、セラ。長居は無用だぜ。他の魔物が現れる前にさっさとずらかろう」

「ちょっと待って。大事なことがあるんだ」

 僕はゴーレムを丹念に調べていく。

「やっぱりそうだ。こいつの体を利用できるぞ……」

 ミレアが目を見開く。

「体を利用するって、エッチなこと!?」