ララベルは嬉しそうに笑っているけど、僕は驚きで言葉を失った。黒いちっこいというのはブルーベリーだし、赤いでっかいのは林檎のことだ。それだけじゃない。メロンもマンゴーもスイカもイチゴも、果てはドリアンまで同じ木に実っている。
「この木が特別なんだよ」
スキル『スキャン』発動
対象:百実の聖樹 一本の木に一〇〇種類の果物がなる樹 季節を問わず収穫ができる
「すごいよ、ララベル。よく見つけてくれたね! これは百実の聖樹っていう特別な果樹なんだ。こんなものが存在するなんて、やっぱり迷宮はすごいなあ!」
「おお? そうなのか? セラが喜んでくれたんならアタシも嬉しいよ」
僕はブルーベリーを一粒もいで口に入れた。ほのかな酸味に爽やかな甘み。食べるのは前世以来だ。ララベルもリンゴをもいでかじっている。言葉遣いは荒いのに食べ方はかわいい。こういうところはお嬢様なんだな。
「うまいっ!」
「秘密の菜園で育ててみたいけど、移植は無理だろうなあ」
引っこ抜くのは簡単だけど、枯れてしまいそうで怖い。まあ、修理でなおせそうな気もするけど今は聖杯に集中しよう。今夜食べる分だけを収穫して、僕らは宿営地を目指した。
◇
地下六階も奥地に入ると戦闘は激しくなってきた。特に僕らを悩ませたのがアーミーアントだ。昆虫のくせに組織だった攻撃をしてくる巨大アリで数が多い。開けた場所が続く地下六階では厄介な相手だった。
「なっ!? 隊を二つに分けてくるなんて!? 数だって三〇〇くらいいるんじゃない?」
大空洞の彼方から攻めてくるアーミーアントを見てリタが悲鳴を上げた。
「慌てないで。右は僕、左翼はリタがガードするんだ。ララベル、遠慮しないでマジックグレネードをどんどん投げてやれ!」
「あいよっ! ここはアタシの独壇場だ!」
荷車の上に飛び乗ったララベルが右へ左へとマジックグレネードを投げつけた。彼女の投擲は正確無比で、敵のウィークポイントを組実に潰せている。爆発が起こるたびに十体近くのアーミーアントが吹き飛んでいた。グレネードの予備は荷台にたくさんあるからなくなることはないだろう。
「この木が特別なんだよ」
スキル『スキャン』発動
対象:百実の聖樹 一本の木に一〇〇種類の果物がなる樹 季節を問わず収穫ができる
「すごいよ、ララベル。よく見つけてくれたね! これは百実の聖樹っていう特別な果樹なんだ。こんなものが存在するなんて、やっぱり迷宮はすごいなあ!」
「おお? そうなのか? セラが喜んでくれたんならアタシも嬉しいよ」
僕はブルーベリーを一粒もいで口に入れた。ほのかな酸味に爽やかな甘み。食べるのは前世以来だ。ララベルもリンゴをもいでかじっている。言葉遣いは荒いのに食べ方はかわいい。こういうところはお嬢様なんだな。
「うまいっ!」
「秘密の菜園で育ててみたいけど、移植は無理だろうなあ」
引っこ抜くのは簡単だけど、枯れてしまいそうで怖い。まあ、修理でなおせそうな気もするけど今は聖杯に集中しよう。今夜食べる分だけを収穫して、僕らは宿営地を目指した。
◇
地下六階も奥地に入ると戦闘は激しくなってきた。特に僕らを悩ませたのがアーミーアントだ。昆虫のくせに組織だった攻撃をしてくる巨大アリで数が多い。開けた場所が続く地下六階では厄介な相手だった。
「なっ!? 隊を二つに分けてくるなんて!? 数だって三〇〇くらいいるんじゃない?」
大空洞の彼方から攻めてくるアーミーアントを見てリタが悲鳴を上げた。
「慌てないで。右は僕、左翼はリタがガードするんだ。ララベル、遠慮しないでマジックグレネードをどんどん投げてやれ!」
「あいよっ! ここはアタシの独壇場だ!」
荷車の上に飛び乗ったララベルが右へ左へとマジックグレネードを投げつけた。彼女の投擲は正確無比で、敵のウィークポイントを組実に潰せている。爆発が起こるたびに十体近くのアーミーアントが吹き飛んでいた。グレネードの予備は荷台にたくさんあるからなくなることはないだろう。