ヴァンパイは小首をかしげながら訊いてくる。その様子に害意などは感じられない。
「効いたけど治したんだ。それよりどうして僕を狙った!?」
ヴァンパイはにっこりと笑い、赤い舌がなまめかしく動く。
「だって、好みのど真ん中だったんですもの!」
はい?
「本当はさっき襲った子でお腹いっぱいだったんだけど、君を見ていたらどうしても血を吸ってみたくなっちゃったの。デザートは別腹ってやつ?」
「僕を殺す気だった?」
「そんなわけないでしょう! 私は好みの男の子からちょっぴり血をもらうだけよ。病気にしたことさえないわ」
嘘をついているようにも見えないので、僕は少しだけ緊張を解いた。
「お姉さんはヴァンパイアなんですか?」
「一応ね……。私はミレア・クルーガーよ」
「セラ・ノキアです。あれ、ミレア・クルーガーってどこかで聞いたことのある名前だぞ。……思い出した! 伝説のソロプレーヤー」
ララベルが言っていた聖杯探しに参加しているうちの一人だ。
「あら、光栄だわ。私のことを知ってくれているのね」
ミレアはころころと笑った。
「伝説のソロプレーヤーがヴァンパイアだったなんて知らなかったなあ」
「生まれたときからってわけじゃないのよ。こうなってしまったのは半年前からなの」
「どういうことですか?」
「迷宮の呪いにかかってしまったのよ」
ミレアは地下五階のトラップに引っかかってヴァンパイアの体になってしまったそうだ。僕も重力の呪いにかかっていたから同情心が湧いてしまう。
「あの、僕なら貴女の呪いを解けますよ。任せてください」
そう申し出たのだけど、ミレアはまたころころと笑った。
「この体は気に入っているからいいの。なんといっても不老不死を手に入れてしまったんですもの」
ミレアはもともと『冒険王』という固有ジョブだったのに、呪いのせいで『ヴァンパイア』に書き換えられてしまったそうだ。
「そのおかげで『不老不死』とか、さっきの『眠りの吐息』なんてスキルも使えるようになったのよ。デメリットもあるけどヴァンパイアの方が使い勝手のいいスキルが多いの」
だったら無理して治さなくてもいいのかな?
「デメリットって何ですか?」
「少しでも直射日光を浴びるとひどい火傷をすることよ。浴び続けると死んでしまうわ」
「効いたけど治したんだ。それよりどうして僕を狙った!?」
ヴァンパイはにっこりと笑い、赤い舌がなまめかしく動く。
「だって、好みのど真ん中だったんですもの!」
はい?
「本当はさっき襲った子でお腹いっぱいだったんだけど、君を見ていたらどうしても血を吸ってみたくなっちゃったの。デザートは別腹ってやつ?」
「僕を殺す気だった?」
「そんなわけないでしょう! 私は好みの男の子からちょっぴり血をもらうだけよ。病気にしたことさえないわ」
嘘をついているようにも見えないので、僕は少しだけ緊張を解いた。
「お姉さんはヴァンパイアなんですか?」
「一応ね……。私はミレア・クルーガーよ」
「セラ・ノキアです。あれ、ミレア・クルーガーってどこかで聞いたことのある名前だぞ。……思い出した! 伝説のソロプレーヤー」
ララベルが言っていた聖杯探しに参加しているうちの一人だ。
「あら、光栄だわ。私のことを知ってくれているのね」
ミレアはころころと笑った。
「伝説のソロプレーヤーがヴァンパイアだったなんて知らなかったなあ」
「生まれたときからってわけじゃないのよ。こうなってしまったのは半年前からなの」
「どういうことですか?」
「迷宮の呪いにかかってしまったのよ」
ミレアは地下五階のトラップに引っかかってヴァンパイアの体になってしまったそうだ。僕も重力の呪いにかかっていたから同情心が湧いてしまう。
「あの、僕なら貴女の呪いを解けますよ。任せてください」
そう申し出たのだけど、ミレアはまたころころと笑った。
「この体は気に入っているからいいの。なんといっても不老不死を手に入れてしまったんですもの」
ミレアはもともと『冒険王』という固有ジョブだったのに、呪いのせいで『ヴァンパイア』に書き換えられてしまったそうだ。
「そのおかげで『不老不死』とか、さっきの『眠りの吐息』なんてスキルも使えるようになったのよ。デメリットもあるけどヴァンパイアの方が使い勝手のいいスキルが多いの」
だったら無理して治さなくてもいいのかな?
「デメリットって何ですか?」
「少しでも直射日光を浴びるとひどい火傷をすることよ。浴び続けると死んでしまうわ」