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実家から兄の葉一と妻の仁美が事故に遭ったという知らせが入ったのは、三年前。年が明け、ようやく世の中の正月モードが抜け始めた頃だった。
当時、まだ入社一年目の社員だった僕は、母から携帯に電話があったとき、先輩について取引先との打ち合わせの最中だった。
電源を切っていたため着信に気付かず、留守番電話に入っていたメッセージに気付いたのは母が電話をかけてきた何時間もあと。慌てて電話をかけ直したときには、両親は病院にいて、兄の葉一は既に息を引き取っていた。
兄の命を奪ったのは、居眠り運転のトラックによる衝突。
兄は妊娠のわかった妻の仁美の病院に付き添うために、半日休みをとっていて。ちょうど妊娠八週目になる仁美のお腹の子どもの心音が確認できて、二人で喜びながら帰っていたときに巻き込まれた事故だった。
運転していた兄は病院に運ばれたが助からず、助手席に乗っていた仁美はケガを負ったものの命に別状はなかった。
だが、心音が確認できたばかりのお腹の子は助からなかった。