歪んだルールで縛りつけて、脆い結び付きをまやかしの愛で繋いで。このまま、ずっとそばにいてほしい。 私を愛しているフリをしていてほしい。 《あのひと(葉ちゃん)》はもう、戻らないから。 「ごめんね、蓮二くん」 目覚めているときは二度と呼べない彼の名前。その名前をつぶやきながら、眠っている彼の額に口付ける。 閉じた彼の目尻から、すっとひとすじの涙が落ちる。指先でそれを拭った私の頬にも、気付けば涙が流れていた。 fin.