前田先生が自分を好きなわけではないということに少し落ち込んでいるのだ。なぜ落ち込んでいるのか、と言われるとわからない。
単に自分のことを好きだと言ってくれる人がいなかったことがショックだっただけなのかもな、と思った。今日のことはみほに
全て話してみることにしよう。その上で、今の自分の気持ちを改めて整理しようと思い、眠りについた。そして翌日、大学に行くと
みほがいたので話してみることにした。
「この間の、先生に好かれているかもって悩んでる友達の話なんだけどさ」
「ああ、そういえばそんな話しあったね。どうしたの?」
「なんかね、友達が言ってたんだけど先生がその友達のことを好きかもしれないっていうのは勘違いだったみたいなの。だから、
色々考えていたことは全部解決したみたいだよ」
「そうなの?今の話を聞いてちょっと気になることがあるんだけど」
「うん?なに?」
「先生が友達のことを好きじゃないっていうのがわかったっていうのは何があってそうなったかはわからないけど、
そうなんだなって思ったよ。で、その友達の気持ちはどうしたの?」
「友達の気持ちってどういうこと?」
「友達は先生のことを好きだとかそういう気持ちはないのかなって。この間の話だと好きになられてるかもしれないからって理由で
意識をし始めたって聞いたからさ。別にその意識はそうじゃなかったからって消えるとは思えないんだけど」
みほが言ったことが難しくて最初はよく理解ができなかった。だがゆっくりと理解をしていくと、つまり私は前田先生のことを
どう思っているか、ということだった。
「そんな!私は別になんとも思ってないよ!」
「ん?私?友達の話じゃなかったの?」
とっさに否定したため、つい『私』と言ってしまった。まずい、と思ったがまだなんとかなると思い言い直した。
「ああ、友達だった。友達のことを考えすぎて自分のことのように思えちゃった」
「ふふ、どっちでもいいんだけどね」
何やら見透かされているような気がするが、それこそどっちでもいい。
そんな話をみほとしていると、別の友人たちが現れた。さすがに前田先生の話をみんなにはしたくないと思い、別の話に
切り替えた。だがそんな中で、やはり女子大生ともなると恋愛の話が少しは出てくるわけで、友人の一人が私に話題を振ってきた。