講義中に、私に対してだけのメッセージを送ってくるような人だろうか。そんなことをするような先生ではない、と思った。
ここまでの全てが私の考えすぎだったのではないだろうか。私が今まで感じてきたことも、他の人からすると全て私の考えすぎだと
思うのではないだろうか。そう思い、誰かにこの話をしてみようと思った。だが、誰にすればいいのだろうか。大学の友達に
こんな話はできない。前田先生から好意を持たれている、と言われても言われなくても恥ずかしすぎるからだ。ではどうすれば
いいだろうか。大学とは全く関係がない友人に話してみようかと思ったが、そもそもどう話せばいいだろうか。私は大学の先生から
好意を持たれているかもしれない、なんて言って、しっかりと話を聞いてくれるだろうか。そんなことを考えた時に、ふと思い
ついた。架空の話にしてしまえばいいんだ。架空の友人を作って、完全に同じじゃなくていいので似たような話をしてみれば、
誰にでも話せるのではないだろうか。そう思い、私は家に帰って架空の話を考えることにした。
そんなこんなで架空の話は出来上がったので、翌日友人に話してみようと思った。そして翌日。私と大学で一番仲の良い、みほに
話をしてみることにした。
「そう言えばね、友達の話なんだけど」
なんともありきたりな架空の話ではあるが、架空の話なので詳細をこだわる必要はないだろう。そう思いながら話を進めた。
大学の先生から、好意を持たれているかもしれないこと。相手はかなり年上なので、好意に応えて問題がないかなどを話した。
すると、一通り聞いた時点でみほが言った。
「うん、大体話はわかったんだけどさ。その友人は、先生のことが好きなのかな?」
そう言われて、私はドキッとした。私は、前田先生のことが好きなのだろうか。考えているうちにみほが続けた。
「好意を持たれていると感じたから好きになった、なんて中学生の恋愛みたいだよ。その友達も私たちと同じ歳なんだよね?
だとしたら、もっと大人な恋愛をした方がいいと思ったけどな。その辺りについては、友達からは聞いてないの?」
そう言われて、私はすぐに答えられなかった。するとみほが
「もしそこがわかったらまた話してくれるかな?私も続きは気になるからさ。今日はそろそろ次の講義が始まるから、行こう?」