私に念押しをするかのように聞いてきた。
「うん、本当みたいなんだけど・・・」
私がそう言うと、みほは一呼吸ついてから話し始めた。
「えっと、はっきり言うけど、あんまりいい結果にはならないと思う。まず、先生とその友達は結構年が離れてるんだよね？
その時点で、普通の恋愛でも少し難しくなるかなって思ってね。それでね、年齢の壁を乗り越えられたとしても次に気にするべきは
先生と生徒っていう関係だよね。ドラマとかでは成功することもあるけど、現実問題としてそれはやっぱり難しいのかなって思う。
多分、その恋愛がうまくいったとしても先生は学校をやめることになると思うしね」
なんというか、当然の反応だと思った。もしも逆の立場だったら、私も同じ反応をしただろう。
「その友達に、やめときなって伝えてあげたら？」
間違っていないということはわかっているのだが、だがそんな簡単に割り切れる問題ではない。そう思って返事をできずにいると
みほが続けて話し出した。
「・・・と言うのは、一般論ね。こんな話が聞きたかったわけじゃないでしょ？」
心を見透かされているかのようで、私は驚いた。私が頷くと、みほが話し出した。
「人を好きになるって、そんな理屈でどうにかなる問題じゃないからさ。好きにすればいいと思うよ。悔いが残らないように
アタックしてみた方がいいと思うな。使い古された言葉だけど、やらない後悔よりはやって後悔でしょ」
そんなみほの言葉に勇気づけられた。確かに、この場で前田先生を好きなんだよなと思っているだけではどうにもならないのだ。
それなら、何か動くべきだ。
「それはそう思うんだけど、具体的にどうしたらいいのかな？」
今日の本題でもあることをみほに聞いた。するとみほは少し悩んで話し始めた。
「まず、好意を持っているってことを相手にわかってもらうことが大事だよね。だからっていきなり好きですって言えってことでは
ないよ。それができるんだったら最初からしてるだろうし」
それはそうだ。それにいきなりそんなことを言ったところで成功するとは思えない。
「だから、アピールをしていくしかないと思うな。一番簡単なのはスキンシップだろうけど・・・先生と生徒じゃなかなか難しい
だろうしね。とりあえず、懐いているってことはアピールしておけば良いんじゃないかな？」