みほは『結局私はどう思っているのか』ということを聞いてきた。その結論はまだ出ていない。そんな状況で、他の友人が現れた。
そして私の好きなタイプを聞いてきた。そこで私が挙げた好きなタイプを総合して考えると、どうしても前田先生になっていた。
だからみほはニヤニヤしていたのだろう。ここまで考えたが、それでもまだ私は自分の気持ちを信じることができなかった。私は、
前田先生のことが好きなのだろうか。そんなことを考えていると友人たちが話を終えたようで、解散となった。家に帰るかな、と
思っているとちょうどそのタイミングで雨が降ってきた。私は慌てて建物の陰へと逃げた。みほたちは大丈夫かな、と思ったが
もう別れたので確認ができない。もし雨が続くようなら傘を買って帰ろうと思いじっとしていると、前田先生が現れた。
「あれ、吉田さん。どうしたの？」
こんなタイミングで前田先生に会うなんて思いもしなかった。だがここで変にパニックになるのもおかしいと思い、一呼吸して
返事をした。
「前田先生、こんにちは。突然雨が降ってきたので雨宿りをしていました」
「突然の雨でビックリしたね。ここでじっとしているのも暇だよね？傘を貸してあげるから、これ、使いなよ」
そう言って、前田先生が傘を差しだしてきた。私が傘を借りたら前田先生はどうなるんだ？と思い
「私が傘を借りたら前田先生の分がなくなっちゃうじゃないですか」
と言った。すると前田先生が
「俺はもう一個傘を持ってるから大丈夫だよ。ほら、使って？」
そう言いながら強引に私に傘を渡してきた。だが私が見る限りでは、前田先生は傘を一本しか持っていないようだった。
「もう一本の傘はどこにあるんですか？」
傘を受け取りながら私が聞くと前田先生が笑いながら
「あっちの建物の講師室にあるから大丈夫だよ」
と言った。だがその建物までは少し距離があった。
「じゃあせめてそこの建物までは一緒に行きましょう？相合傘になっちゃいますけど・・・」
私がそう言うと、前田先生ははにかみながら
「さすがに、相合傘は照れるよ。大丈夫、走ればすぐだから。それじゃ」
と言って、走り去ってしまった。走り去っていく前田先生の後姿を見て、確信した。私は、前田先生のことが好きだ。
ここで、ここまでのことを冷静になって考えてみようと思った。まず、私と前田先生の出会いは偶然だった。私がたまたま落とした