「会議、出れそう?」
「は、はい。大丈夫です!」
「それならいいけど。無理なら途中退席してもいいからね」

藤原部長、女神すぎる。

45歳とは思えない美貌。腰まで伸びた緩やかな艶々のウェーブヘア。タイトなスーツにスラッと伸びた脚線美の先にはシンプルだけど華のある革製の黒のパンプス。
いくら服装自由な職場とはいえ、あたしのような、もっさい瓶底メガネでノーメイクにボサボサヘアー、Tシャツにジーンズ、履き古したスニーカーで仕事している喪女とは大違い。
私生活では藤原部長は小学生の男の子のママで、旦那さんはエリート商社マン。完全なリア充(死語?)勝ち組だ。
あまりの神々しさに、思わず見惚れてしまった。

ああ、そうか。
そもそも私のような女を一国の王子が選ぶわけがないよな。

変に冷静さを取り戻したあたしは、会議室へと急いだ。