「自分じゃない他の誰かを思いながらその相手を追いかけるなんて、背徳行為っす。自分の理想押し付けられたら、誰だって嫌じゃないっすか? ありのままの自分を見てくれない相手とは、結婚どころか傍にいたいとすら思わないっす。この世界にケヴィンはいないっす。どうしてもっていうなら、ケヴィンのどういうとこに惹かれたのかってのを手がかりにするっす」

耳が痛いとはこのことか。

あたしはケヴィンケヴィン言ってるばかりで、ケヴィンの存在そのものを愛していたつもりだったけど。

よくよく考えたら、もっとその魅力を深堀りすべきだったかも。

「わかった。ちょっと整理してみる」

あたしはケヴィンをベースにその特徴を持つ男性像を書き出した。

すると、候補者が6人ほど現れた。

1人目、ケヴィンと顔が全く同じ人。
2人目、プロポーションが全く同じ人。
3人目、食の好みがケヴィンと全く同じ人。
4人目、声がケヴィンと全く同じ人。
5人目、性格がケヴィンと全く同じ人。
6人目、ケヴィンのコスプレが趣味の人。


「成実ちゃん、どう? これだけ現れたよ」
「どうって……」

ごめん、やっぱりケヴィンは外せないわ。

「まあ、百歩……千歩くらい譲って良しとしますかね。とりあえず、顔の人はさっき秒でフェードアウトしたから無しっすね」
「あ……」

しまった、すっかり忘れてた。
基本情報見る前にフェードアウトしちゃったし、しかも履歴辿ったら早々に顔作り変えてた……。
「次行きましょう、次」
成実ちゃんは「ウサぴょん」を分析し始めた。