「ジャガイモっ、ちょっとあんた、アタシに野球のルールを教えなさいよっ!」
「はぁ? 前にも言わなかったか? 俺はそんなにデコボコしてねぇ」
 ゴールデンウィーク中は、ずっと翔太と翔太のお父さんが手伝いに来てくれた。
 隣町の直売イベントが開催されていた間は、日中はお母さんの代わりにイベントへ行ってくれて、それが終わったあと、またわざわざ我が家へ来てくれて。
 実は……、三条くんもずっと来てくれた。
 三条くん、あの日だけかと思っていたら、あれから毎日来てくれて。
 翔太たちが居るから大丈夫だよって何度も言ったんだけど、最後は「うるさいっ!」って怒鳴られた。
 ううう、ちょっと笑ってくれるようになったから気を抜いていた。やっぱり怖いよぅ。
 でもそのうち、手伝いに来てくれるのが当たり前になってしまって、夕ご飯を食べて帰るのも普通になっちゃって……。
 弟たちは三条くんが来てくれると、とっても嬉しいみたい。
 晃は宿題をみてもらって、陽介はピアノを教えてもらって、光輝は絵本を読んでもらってと、もうほんと、なんてお礼を言ったらいいか分からないくらい。
 でも、どうしてそこまでしてくれるのかは謎。
 育ちのいい三条くんからしたら、こんな汚れる農園の仕事なんて、まったく面白くないと思うんだけど。
 でも、とにかく助かった。
 そして、連休明けの今日は、もうヘトヘト。
 一日中、眠くて眠くてしょうがなかったんだけど、もしかしたら先生たちは、あたしが気絶しそうに白目丸出しだったのをずっと見逃してくれていたのかも。
 やっと放課後。