「あ? 俺は金にもメシにも困ってねぇぞ?」
 ううう、恥ずかしい……。
 晃のやつに見透かされてたか。
 さて、まずは洗濯物を取り込もう。
 そうして、台所の端に置いていたカゴを手に取ると、さらに聞こえたのは翔太のとっても不機嫌そうな声。
 うわ、なに?
 なんか三条くんに突っ掛かってるみたい。
「おい三条、お前、もう日向とチューしたのか?」
 えええっ?
 もうっ、なんてこと聞くのよっ!
「なんだそれ? お前に関係ねぇだろ」
「お、したのかっ? したんだな? なんてぇ不潔なやつだ。タメとは思えん」
「あー? なんだ、ケンカ売ってんのか? それに、俺はお前とタメじゃねぇ」
「なにぃ?」
 え?
 タメじゃない?
 そういえば、昨日、晃が変な事言ってたな。
 それに……、あの運転免許証。
 へ? もしかしてっ……。
「あー、翔太兄ちゃん、聖弥さんは兄ちゃんたちとタメじゃねぇよ? 一コ上」
「一コ上だぁ? どういうことだ、三条」
 思わずカゴを投げ出して土間へ顔を出した。
 うわっ。
 土間の真ん中、輪になって箱を組み立てているみんなが一斉にこちらを見る。
「さささ、三条くんっ、いまの話っ」
「あれ? お前、小夜から聞いてなかったのか」
 翔太がポカンとしている。
 ちょっとニヤリとした三条くん。
「お前、この前の一月十五日で十五歳になったんだよな?」
「え? うん」
 そう。つい三か月前まで、あたしは十四歳だったのです。はい。
「俺の誕生日は四月四日だ。ついこの前の四月四日で、俺は――」
 えええ、まさか。
「この前の四月四日で俺は、十七歳になった。お前とは一年九か月差だな。俺、去年は浪人してたんだよ」